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魔法少女リリカルなのはLOST Battle
六ページ
「……」
聞きたい事を聞くチャンスは今しかない。
そう思ったはやては今まで聞きたかった事を聞いた。

「…ファルド君、聞きたい事あるんやけど…ええかな?」
「別に構わない。何だ?」
「機動武装隊…海の機動六課の三番隊隊長っちゅう話、聞いたんやけど…」

「それが…どうかしたのか?」
「今の機動六課…どう思っとるかなって…」
ファルドは顎に手を当て、しばらく悩むと自分の思った通りに答えた。

「そうだな……悪くはないと思う。部隊の空気も賑やかだし、親しみやすい。それに戦力も揃ってる」
「悪い所ないんか?」

「ある。個人的な意見だが」
「‘女しかいない’やろ?」
「正解」
苦笑しながらはやての頭を撫でる。嬉しそうに照れながら、はやては気持ち良さそうに目を細めた。
ファルドが手を離すと、空を見ながらはやてが淡々と語りだす。

「…うちの、夢なんや。自分の部隊を持って、事件に立ち向かって解決するの」
「…JS事件か?」
「うん…。せやけど、やっぱりまだまだ未熟やった。甘かった。だから部隊の指揮はしばらく止めようと思ってたんやけど…『新しい事件が起きた。それに伴い部隊を編成するけど、部隊長をやらないか』って、言われて……」

「…………」

「凄い悩んだ。どうしようって…だけど、やっぱり諦められなくて二つ返事で頷いた。皆も頑張ってくれて…うちも頑張った。……つもりやった……なのはちゃんやヴィータが怪我して、地上が滅茶苦茶にされて……」

「…はやて。顔上げろ」
俯き始めていた顔を、言われた通りに上げた。人差し指を親指で押さえているファルドの手が額に差し出される。
呆気に取られている隙に、人差し指がはやての額を強打。予想以上の威力に後ろに仰け反った。

「いっ……たぁ〜〜〜〜!な、何すんのや!」

「黙って聞いてれば言いたい事言って自分傷つけて。何か勘違いしてないか、はやて」
「…?」

「責任取るのはお前じゃない。事件を起こした俺だ。悪いのも、なのは達が怪我したのも原因は俺なんだ。だから悪いのははやてじゃない」

「…ファルド君…」

「大体、そんな夢があって…それを一回や二回の失敗とか、実力不足とか指揮が未熟とか下らない理由で止めるくらいなら夢見るな。始めから失敗しないで出来る奴なんて居ないんだからな」
 多少乱暴に頭を撫でながらファルドは一気にまくしたてる。


「…機動六課部隊長の先輩としては、後輩がそんな情けないとこっちが不甲斐ない。しっかりやれ。失敗は俺が正す、未熟な部分は補ってやる。お前の夢、機動六課は俺が守ってやるから自信持って指揮しろ、いいな」

「…………」

「返事!」

「え?あっ、はい!分かりました…」

「小さいからもう一回。分かったか?」

「分かりました!ファルド…君」
 敬礼したはやてを見て、髪を整えてやりながら手を離す。ファルドは元気な返事を聞いて満足そうに笑った。

「……何か、お兄ちゃんがおるみたいや」
「何か言ったか?」

「え?な、何も言ってへんよお兄ちゃん」

「…………」
「ぁ…………」
沈黙。そして、みるみるはやての顔が赤く染まっていき耳まで真っ赤になった。

「………はやて?今なんて」

「うちは何も言ってないよ!ファルド君、今の忘れて〜!」
「って!そんな事言いながら走り去るなぁ!」

恥ずかしさのあまり、はやてはその場から逃げてしまう。ファルドは追おうと思ったが、野暮だろうと考えて止めた。

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