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魔法少女リリカルなのはLOST Battle
プロローグ
ミッドチルダの首都、クラナガン。
そこから少し離れた場所に、未だ残る戦いの後。

瓦礫や廃墟だらけの無人の街、その内の比較的被害の少ない廃ビルに青年は身を隠していた。


月が夜のミッドチルダを照らし、その光で渡された書類を読んでいく。

「………」
内容は今までと少し変わっていた。
管理局のエースの戦闘データが欲しいという依頼に、青年は眉を寄せる。

「要は喧嘩売ってこいって事か……」
だが、ドクターからの依頼を断る理由もない。

書類から目を離し、夜空を見上げる。
満天の星空が広がるばかりで何もない。

そんな光景をしばらく見続け、次の依頼に備えて寝る準備をする。

バリアジャケットではなく、ズボンに薄い長袖。
その上にはこれといって服を着ていないが、夏が近づいて来ているミッドチルダの気温を考えると妥当だろう。

「ケルベロス、俺は寝る。昼辺りに起こしてくれ」

《分かりました、主。お休みなさい》
「ああ……」
書類を壊れかけの棚に乗せ、左手を見る。

手の甲に、黒を基調としたひし形の宝石があった。
返事はそこから聞こえている。


ソファーに横になると、手短な毛布を一枚体に掛けると間もなくゆっくりとした呼吸をし始めた。

右手で目を覆い、左手は力なく下げられている。



ひし形の宝石は、月明かりを受けて黒く輝いていた。

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