魔法少女リリカルなのはLOST Battle
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「…で、何か用か?」
「あ、晩ご飯だから呼びに来たんだ」
「そうか」
ファルドとなのはが医務室を後にして食堂に向かう。比較的近い場所の為、すぐに着いた。既にテーブルに着いている何名かは食べ始めている。
とりあえず二人は空いている席に座った。スバルとウェンディが旨そうに食事を頬張っている。
「こらこら、そんな急いで食ってたら喉に詰まるぞ」
「ふぁいほーっふっふ」
「食いながら話さない。ちゃんと飲み込んでから話せ」
「ふぁーい」
「ファルドさん何だかウェンディのお兄さんみたいですね」
「もぐもぐ……。それなら大歓迎ッス♪」
「おいおい…勘弁してくれ」
テーブルの真ん中に置かれた大量のスパゲッティを自分の分を取るとフォークで絡めて食べる。
しかし、賑やかな食事の時間はすぐに終わってしまう。そのわずかな時間の間は、全員が笑顔だ。
(こんな時間だけなら…幸せなのにな)
薄く微笑みながら、なのは達の笑顔を見守る。
だが、脳裏に浮かぶのは戦う相手の顔ばかり。その中の一人には良く知った顔もある。
「…………」
「……ファルドさん?」
(…何で…こんな事になったんだ…ロア。お前は……)
「ファルドさん。大丈夫?」
「ん?…ああ、悪い。少しな…考え事だ」
「もー、ファルドさん私に言った事そのままじゃない」
「は?何か言ったっけ…」
「言ったよ〜。悩みがあるなら相談してくれって」
「俺は悩みじゃなくて考え事。だから別に相談しなくても大丈夫なんだ」
「変な事考えてたッスか?」
「ぼふぁ!?何言いだすんだウェンディ!そんな訳ないだろ?」
「本当ッスか〜?」
「ウェンディ、あまりファルドさん絡かわないほうがいいと思うよ」
「だけど男の人はファルドさんだけッスから考えててもおかしくないと思うんスけどね〜」
「……とりあえずお前は口に飯でも詰めてろ」
フォークにスパゲッティを大量に絡めてウェンディの口に突っ込む。
「んぐ〜〜〜〜〜!」
「全く……」
顔を赤くしたまま食事を取り、片付けは全員で手早く行う。
その後、ファルドは一人で夜の訓練場に足を運んだ。何も無い訓練場に森林のデータを打ち込み、スペースを作る。
何をするでもなく、ただ空を見上げた。
「……笑っていられればいいんだ、アイツ等が…」
星の輝きを見ながら呟き、手を伸ばす。
「……ロア。お前も見てるか?この空を……一緒に翔んだ空は変わってないぞ」
力強く拳を作り、手を下ろしてその場に座る。体を投げ出すように仰向けに寝転がって星空をただ眺めた。
「……変わって、ないのにな…」
呟いたその時、足音が聞こえた。誰かと思い首を向けると、はやてが笑顔で寄ってくる。
ファルドは体を起こし、その隣にはやては座った。
「居ないと思ったらここに居たんか?」
「悪いか?」
「何も言わなかったのは悪いと思うで」
「……ごめんなさい」
「はは、いいよ別に。気にしなくても」
ファルドは空を見上げ、はやてはその横顔を見つめる。
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