魔法少女リリカルなのはLOST Battle
十ページ
ファルドが戻った。という報せははやてとフェイトにも知らされ、その事を知った二人はファルドの寝ている病室を訪れる。
地上の襲撃はひとまずの収拾が着いたのか今は静かであった。
指導者であるシャドウは中破。先陣を切り、仲間が逃げる為に戦ったライダーはスバルが破壊。
それにより、しばらくの間は組織からの襲撃は無いと予想された。
「ちゃんと戻って来たね」
「そうやな。色々気になる事もあるし、聞きたい事が増えたわ」
病院の廊下を歩きながら二人は会話を続け、ファルドの病室前で立ち止まり扉を開ける。
そこでは包帯を巻いたスバルが寝ているベッドと、その隣では本を読んでいるファルドがいた。
「……。ああ、はやてとフェイトか。見舞いにでも来たのか?」
スバル同様包帯を巻かれているが、こちらは意識が復活したのかいつも通りにしている。運ばれた時はスバル以上の大怪我をしていたのに、今では大体の傷が塞がっていた。
そんな姿を見た二人が唖然とするのも無理は無い。
運ばれてからまだ二日しか経っていないのだから。
「ちょ、ちょっと待って…ケガ、大丈夫なの?」
「大体はな。まだ少し痛むけど」
「いくら何でも速すぎやで……」
「そういう体してるんだよ。で?用件は何だ」
本を閉じ、傍の棚に置くと二人に向き直った。
開いた胸元からはまだ巻かれている包帯が覗ける。
「…ちょっと、聞きたい事があるんや……」
「ガジェットを破壊したあの魔法について、か?」
「……管理局でもね、不審がられてるの」
「だろうな」
「だろうなって…意味分かってるの、ファルド?」
「ああ。…今から全部話す。それを本当かどうか確かめるかは好きにしてくれ」
ファルドは全て話した。自分の事。聖王の、ゆりかごの抑止力である事。管理局に居た事。
「ゆりかごの……」
「古代ベルカの技術者の中には聖王を良く思わないのが何人か居た。そして、ゆりかごを破壊するための兵器を造り上げた…それが『聖典』。管理局は万が一に備えて俺を作ったみたいだが、結局必要無かったな」
「作った…?どうして?」
「スカリエッティの起動させたゆりかご。本来俺はそれを破壊する為に生まれたが、それはお前達機動六課が解決したからだ」
「…………」
「教会側の協力もあったから俺はここに居る。だからあまり聖王教会は好きじゃないんだ………苦手なのもいるしな……」
『?』
ガチャリ
ファルドの欝そうな呟きが終わると同時に扉が開けられ、入ってきた人物を見て固まった。
「ファルド……」
「…………」
「騎士はやて。それにフェイトさんも……止めたのですが…」
シャッハが謝るものの、一緒のカリムは真っ直ぐベッドの傍まで歩き、ファルドの前で止まる。
「……カリム」
名前を呼んだ瞬間、カリムがファルドに抱きついた。そしてはやてとフェイト、シャッハの動きが止まる。
「良かった…覚えていてくれたのね…」
「…まぁ……」
嬉しそうなカリムに反してファルドの表情はげんなりしていた。
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