魔法少女リリカルなのはLOST Battle
九ページ
「ライダァァァァァァーッ!」
スバルの叫びが響き渡る。地上にはその体を構築していた部品が至るところに散らばっていった。
瞳が金色からいつもの緑色に戻り、地面に降り立つ。細かな部品が足元に落ちていた。周囲を見渡すと、小さな光が目に入る。
「…アレは」
その正体を確かめる為にスバルは近づき、拾い上げた。
――紫紺色の、小さな五角形の宝石。
「…………」
手のひらに収まる、小さなデバイス。それは、ライダーが何より気に入っていた専用の武装―ソニックウインド・音速の風―だった。
スバルは握りしめると、胸元に抱き寄せる。
「……さよなら、ライダー……」
それだけを呟くと、空を見上げた。
柔らかい風が吹いてスバルの髪をなびかせる。
青空は変わらない。何も知らない様に。
――RIDER...LOST
《……ライダーが破壊された、か》
撤退途中のバスターがデータを告げた。シャドウも、ブレイドも同じ情報が知らされている。
《……》
シャドウがライダーのマフラーを強く握りしめ、遥か後方を眺めた。
目標だった地上本部の破壊は失敗。挙句には仲間を失った。
《ライダー……必ず、必ずだ。私達はドクターの夢を叶える……そして、管理局に愚かな鉄槌を下す…!》
「……スバル、大丈夫か?」
「はい……ファルドさんは?」
「心配いらない。すぐ治るからな、大丈夫だ」
とは言うものの、ファルドの状態はとても大丈夫に見えない。
ナンバーズの面々も何処か心配そうにしている。
「だ、大丈夫なのか?ファルド殿」
「ああ、これぐらいの傷は修復機能使えば半日くらいで治る」
「修復機能って…そんなデバイスみたいな」
「実際のところ、俺はプログラムだからな。普通と違う、だから問題も心配もいらない」
その言葉に驚き、唖然とするナンバーズを尻目にファルドは歩く。
「何処行くッスか?」
「決まってるだろ、部隊長に顔出すんだ。今の状況とか聞いておきたいしな」
しっかりとした足取りで部隊長の下に向かうファルドだが、相当無茶をしていた所為かそのまま前のめりに倒れた。
「ファ、ファルド!」
セインが駆け寄り、その後ろでスバルが倒れる。
「お、おいハチマキ!大丈夫か?」
「……すぅ…」
「…寝てるだけみたい」
ファルドも同じく、穏やかな表情で眠っていた。
その後二人は聖王教会の病院に護送。しばらくの間治療が必要という事で入院した。
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