魔法少女ﾘﾘｶﾙなのはLOST Battle
六ページ
「だから…！」
強く、強く思い、それに応える様に魔方陣がより強い輝きを放つ。
「私だって！負けられない！」
スバルの瞳が、金色に変わる。
《…それが貴様の全力か、スバル・ナカジマ……。ならば俺は、俺を超える全力で貴様に応えよう！》
ライダーの足元に円盤形の魔方陣が浮かぶ。紫紺色に輝き、体のパーツの一部が吹き飛んだ。
《ブーストリミッター解除。……後は、駆け抜けるのみ！》
「マッハキャリバー！ギア・エクセリオン！」
《All right Buddy!》
青い翼がマッハキャリバーの両脇で羽ばたく。力強い輝きを放つ、空を駆け抜ける翼。
外したリミッターはブレーキ。止まるつもりは無い。戻る気も始めから無かった。望んだ事はただ一つ。
目の前の好敵手に勝つ事。ただ、それだけを願う。
《Reddy...》
「……っ！」
ガチャリ、と重い音を立ててスバルはリボルバーナックルを持ち上げる。
《Go!!!》
「うぉおおおおっ！！！」
目にも止まらぬ速さで二人が戦う。振動破砕を乗せた一撃一撃は、デバイスにも負担を掛ける。
だが、相棒を信じて使い続けた。目の前の敵を倒す為に。
振動破砕に擦りでもすれば、ライダーの体は破壊される。だがそれでも、戦わない訳にはいかない。
仲間を守りたいと、願うが故に。
「でぇりゃあぁぁっ！」
《おぉぉぉぉっ！！》
どう考えてもライダーが不利だが、それでも止まる気配はない。それどころか、ライダーはますます速度を上げていく。そうする内に、段々とスバルが追い付かなくなってきた。
高速を超えた四肢にヒビが入る。限界を訴える武装が火花を散らす。
振動破砕の一撃が、ライダーの肩を抉った。
それでも止まらない。すり抜け様に、瞬きする間も無い蹴りがスバルの体を吹き飛ばす。
《くぅっ！》
左肩の破損を気にしない動きで追い討ちを掛けに走った。
ブレーキを掛けてスバルは避ける。
走りながらの裏拳をしゃがんで避け、反撃しようとする頃には既に遠ざかっていた。
旋回して再び急接近するライダーの左肩の破損が更に広がる。
「自分が耐えられない速さなのに…！」
《ぬぅあああぁぁっ！》
自分自身が壊れていく最中、ライダーは更に速度を上げた。だが内包している魔力が徐々に追い付かない状態になる。
それでも疾駆者は、戦友の為に空を走り続ける。
《MCS！OVER EGNITION！》
背中の装甲の一部が開き、魔力を吸い込んで内包魔力に継ぎ足す。その増加した魔力を更に速度と攻撃に全て流し、スバルを追い込むライダー。
しかし、その力は諸刃の剣。
使用者自身すら追い込むMCSを過剰使用した者の結末はただ一つ。
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