[携帯モード] [URL送信]

魔法少女リリカルなのはLOST Battle
二ページ
だが、ファルドにはシャドウを撃破する切り札が幾つか残っている。


一つは限界突破。

一つはプログラムの解放。


しかし、これらは自らに多大な損害を負わせる。

管理局側の意向が示されている証拠だ。


――破壊出来れば、それでいい



《何故管理局側の味方をする!命を弄ばれたというのに!》

「例えそうだとしても俺は…!」


生体兵器として扱われたとしても…


《そうなる為に生まれたというのに、何故!》

「それでも俺は…!」


どのような事があっても、ファルドは…



「人として生きる!兵器として生まれたのなら、それは運命だと割り切るしかないんだからな!」


―『人間』である事を辞めない。



《――!》

「生まれ方はどうだっていい!大事なのは、どう生きるかだ!だったら俺は―」

ファルドの剣が青空に映える。シャドウが影を残さない速度で空を跳ねた。


「『仲間』を守る為に戦う!それが騎士としての…俺が決めた生き方だ!」


ガキィン…!




《…馬鹿、な》

「…人形には、分からないだろうがよ」
 シャドウの右腕が宙を舞い、ファルドの右頬から血が流れる。



過去に決めた道を踏み外し、今一度進むと決めた信念の一撃は…自らの影を超えた。


左腕から魔力の衝撃波を連射しながらシャドウは距離を離す。


《現状報告、どうなっている》


《ナンバーズと交戦中。以前より手強い…!》

《こちらは問題無い》

《異常無しだ…》
 仲間に通信を入れたのは助けて欲しい訳ではなく、心配だったからだ。
今自分が落とされては大事に触る。


ファルドが追撃しようとシャドウを追う。だが、瞬間移動で避けられてしまい、振り返った直後左目に魔力の衝撃波を叩き込まれた。

非殺傷設定だとしても、失明は免れない。
ファルドは左手で眼を押さえ、右手にデバイスを持ちかえた。


「…ケルベロス、左目治せるか?」
《勿論です。多少時間は掛かりますが》
「なら、頼む」
《了解しました》

シャドウの射撃が絶え間なく襲うが、右手だけで持ち堪えて左目の回復を待つ。
 傷口が塞がり、左手を離すと元通りになっていた。


《化け物め…》

「その化け物の影なんだぞ?もう少し気合い見せろ!」

《くっ!》

空振った隙に、背後から魔力弾を撃とうとしたシャドウだったが、ファルドのデバイス…ケルベロスの魔力濃度が上がっていた。
 だが、攻撃を止めずに左手を突き出す。



 ベルカの基礎にして奥義。そして、真骨頂。
それは、武器に属性を付加させて相手を叩き斬る事。

ファルドの“一閃”もまた、同様に。



「月光…一閃!」


振り返りながら放つ、夜空に浮かぶ三日月の軌跡。それは、魔力を収束させて切れ味を上げた高速の斬撃。

下から斬り上げる様な一撃は、シャドウの右目を破壊した。

《どこ、までも…!貴方はぁ!》

直ぐ様後退し、距離を離す。


《…まだだ。まだ私は落ちる訳には……!》



たった一つの託された使命の為に。


ファルドの影は戦い続ける意志を見せる。

[*前へ][次へ#]
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!