魔法少女リリカルなのはLOST Battle
三ページ
「止めろ…止めておけ。もう無理だ」
《…説得に応じる気はない!》
シャドウが空に浮かぶ円盤を跳ね回る。不規則なパターンで相手を撹乱して射撃していく。
突然の動きに、ファルドも苦戦するがまだ損害は軽い。
「諦めの、悪い奴だな!」
《貴方もでしょうに!》
一瞬だけ、シャドウがファルドの眼前を通り過ぎる。すれ違いざまに魔力を間近で撃たれ、衝撃で頭が揺れた。
飛びそうな意識をどうにか持ち直すが、続けて回し蹴りが頭上に落とされて視界が眩む。
飛行していたが、姿勢制御する余裕が無くなり地上に落ちる。
「っ…ケ、ル…ベロス!」
《Straight a Shot》
ファルドは自分の頭にケルベロスの銃口を当て、弾丸を放つ。強い衝撃で無理矢理意識を引き戻し、再びシャドウに向かって剣を構える。
《ちぃっ!》
「空で…この、青空で…落ちてたまるかぁぁぁっ!」
咆哮と共に振り払った一閃はシャドウの右足に当たり、太股の半ばまで裂いた。
《しまっ…!》
「貴様が落ちろっ!シャドウ!」
返し刃で狙った袈裟斬り。脚をやられたシャドウに回避する手段は無い。
左腕を突き出そうとするが、間に合わない。
《く…!》
―ここで落ちる。
シャドウはそう思った。
だが、風より速く駆ける一陣の旋風。
ファルドの剣が空を斬った。
「外した…!?」
《…ライダー!》
《相変わらず鈍臭い》
ソニックウインドに跨がったライダーが、シャドウを抱えていた。
《何故来た…》
《通信を入れただろう。もしやと思い、来たら案の定だな》
ライダーに負傷は見られない。回避に撤していれば捉えられる射撃は存在しないまでに速度に特化しているのだから。
《状況は、良くない…》
《見れば分かる》
「ちっ…面倒、な…」
度重なる負傷に、ファルドの意識が眩んだ。その直後、背後からロードが斬り掛かる。
対応が一瞬だけ遅れ、どうにか防げたが威力に負けて地上に落とされた。
脚を着けた瞬間、今までのダメージが一気に押し寄せ、立ち上がるのが困難になる。
《シャドウ、撤退しろ。部隊を全て連れてだ》
《何を…》
《貴様の損傷も見逃せるほどではない。のろまなバスターとブレイドを連れてさっさとラボへ帰れ》
《ライダー。お前は…》
《貴様等と違い、俺は速いからな。最後に戻る、だから先に行け》
《…………》
《信頼出来ないか、この俺が?》
ロード、シャドウ、ライダーの元へバスターとブレイド、ルーツが集まる。
ファルドの元へナンバーズ、スバルが集まる。
お互いに損傷はほぼ同等。
だが、人数はファルド達が多い。
《…撤退するぞ。このまま全滅しては申し訳無いからな》
シャドウは…そう判断した。それにライダーが笑った気がする。
首に巻いた赤いマフラー…放熱コードを外して、シャドウに預けた。
《デカブツ、お前はシャドウを連れて早く戻れ。一番遅いからな》
《了解した》
《ライダー…これは?》
《俺には不要だ。ブレイドも、模造品も早く行け》
ライダーが、エンジンを吹かす。
シャドウを抱えたバスターは真っ先に背中を向けて撤退していった。
ブレイドとロード達も撤退していき、残されたのはライダー一人。
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