魔法少女リリカルなのはLOST Battle
一ページ
それを弾きながら距離を取って体勢を一度直す。ブレイドも同様に離れ、シャドウ達の傍で止まった。
《作戦は中断するな。地上本部が狙いだろう》
《だが、オリジナルは無視出来ない存在だ。ここで落とす、完全にな》
仲間割れをしながらも連携攻撃でファルドを追い詰めていく。徐々にかすり傷が増えていく中でも、その眼は変わらない。
ただ、一体だけに狙いを定めている。
「まだだ……」
《何…?》
「まだ俺は……」
ライダーの蹴りが額を掠めた。瞬き一つせずに受け止め、殴る。離れた隙にシャドウを見つけ、真っ先に向かう。
狙いはただ一つ。
《バスター、ライダー、ブレイド。地上本部への攻撃続行だ、オリジナルは私に任せろ》
《了解した》
全員が頷くと、残されたのはシャドウとファルドの二人になった。
「…ファルドだ。聞こえるか、‘はやて’」
『え?ファルド君…?聞こえるよ』
「今から言う場所に部隊を出せ」
『う、うん…』
《…今から言う場所に移動しろ。いいな》
二人の出す指示は全く同一。違うのは人数と実力だけ。
信じるのは、仲間の勝利のみ。
「……同じ、か」
《えぇ…貴方と同じ思考パターンをしていますから》
「つくづく厄介だな、お前」
《お互い様でしょうに》
二人が空を走る。すれ違いながら剣をぶつけ合い、火花を散らしていく。
一撃一撃の軌道は寸分違わぬ正確さでぶつかり合う。
自分自身がもう一人、鏡映しの様に。
「ちっ!」
《くっ!》
接近したまま離れずに剣を振り、反らし、受け止め、時には避けながら何とか一撃を相手に入れようとするが、全く進展が無い。
衝撃で弾かれたのを利用してシャドウが左手をファルドの顔にかざす。
ファルドはシャドウの顔に剣を突き付け、銃の形をとったデバイスを向けた。
「ケルベロス!」
《フィンガー!》
魔力の衝撃波がファルドの顔を撃つ。
魔力の弾丸がシャドウの顔を射つ。
衝撃で眩む頭を振り、気を持ち直す。裂けた額から血が流れてくるが、気にしている暇がない。
割れたカバーの破片が地上に落ちるが気にしていない。左目にヒビが入り、映像が若干ぶれているがまだ戦える。
「……流石、だな」
《……そちらこそ》
二人の戦いは平行線を辿り続けた。相手を倒す時は、自分が倒れる時なのだから。
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