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魔法少女リリカルなのはLOST Battle
プロローグ
 信じられない光景だった。たった一人の放った魔法が、戦局を返し、敵を壊滅状態までに追い込んだ。

「…っ!ケルベロス、攻勢プログラムの停止を頼む」
《了解しました。…主、やはり聖典は…》

「ああ…全く、人を人間扱いなんてしていないな。広範囲に及ぶ孅滅魔法だとは頭が理解してるし、どれだけの魔力を食うかも分かってるのによ……」

だが、その術者に対する負担は莫大なものである。
ファルドの傷口が開き、口から血が垂れた。

「破壊出来ればそれで良い、か……俺の命なんて考慮していないな…」
《…来ます。シャドウです》
「久しぶりに会うな、自分の影と…」
 口の血を拭いさり、目の前に着地するシャドウと睨み合う。街の一区画を壊滅出来る魔力の雨を避け切ったのか、目に見える損害は無かった。

《オリジナル……ファルド・ヴェンカー…》

「良く避けれたな」
 残りのフレーム達もファルドの前に集結し、武装を構える。
手加減する気は微塵も無い。だがそれは、蒼天の守護騎士も同じだった。

地上を見れば損害は酷く、黒煙が立ち上っている。

管理局員を見れば傷つき、血を流し倒れている。

そして、空には敵が飛んでいる。

《これだけの数だ。相手出来ると思っているのか?》
「やらずに諦めるのは性に合わない」

《勝てるとでも?馬鹿馬鹿しい…》
ライダーからの非難に、ファルドは笑いだす。

「今日の俺は怒り狂ってる。手加減容赦しないからな…」
その瞳から、無機質なまでに感情が消え失せた。人間としての顔を捨て、兵器として戦う。


《…………》

「……………」
両者の間に緊張が走り、風が吹いた。その場にいるだけで気が遠くなりそうな空気が流れる。

……

そして、動き始めた瞬間、目に止まらぬ速度で双方の激戦が広がった。


「おぉぉぉぉぉぉぉっ!」

《はぁぁぁっ!!》

二つの影が空を舞う。

空を走る疾駆者の一撃が割り込むが、眼中に無いのか弾くと同時に離れる。

不落の砲台が援護砲撃をするが、デバイスの魔力でねじ伏せられた。

剣劇の殺戮者が奇襲を掛けても見抜かれた様に避けられる。

白銀の騎士も真っ向から挑むが、何度か剣を合わせると弾き飛ばした。


《ちっ…本当に化け物だな…》

ファルドは全ての攻撃を左手で返した。右手も多少使ったが、それでも生半可な戦闘技術では着いていくのすら困難な連携をたった一人で、援護も無しに全て退ける。

「悪いが…俺の左手はお前達と同じだ。思考と同時に反応するから大抵は追いつける!」
薙払う一閃がロードの大剣を弾き落とす。続けて背後からブレイドが奇襲するものの、振り返り様の攻撃で防がれた。

「…初めて見るタイプだな」
《ブレイド…》
両手に剣を持った赤い機体は、名前を名乗り再び武器を振る。

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