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魔法少女リリカルなのはLOST Battle
七ページ
「はぁぁっ!」
 勢いを乗せた一撃を放つ。ロードは両手で大剣を支えて防ぎ、押し返す。

そこから更に振り回しながら薙払い、距離を取らせた。
軽快な動きのシャッハ。その一撃一撃を確実に防ぎ、時には受け止めながら反撃の一手を突き出すロード。

「くっ…!敵ながら、中々…!」

《……》
大剣で斬るのではなく、腹で魔力ダメージを追わせていく。しかし、ロードもシャッハの攻撃で損傷していた。
二人の実力は五分。互いに距離を取って次の一撃に最大限の力を込める。


「……」
両手でヴィンデルシャフトを構え、二発装填する。

《……》
大剣を肩に担ぎ、構えるロード。


二人の間を風が駆け抜ける。それと同時に全力の一撃を叩き出す。


「烈風一迅!」

《……!》

互いの武器がぶつかり、衝撃が走ると思った瞬間ロードが武器を止め、左肩が破壊された。
爆発と共に吹き飛び、大剣が後方に円を描きながら地面に刺さる。

「なっ……」
驚いたシャッハは動きを止めた。

「…何故あのタイミングで攻撃を止めたのです」

《……》
ロードは答えない。白く塗装された騎士は、ただ黙って立ち上がる。
その顔が、シャッハの足元を見ていた。

それにつられて自分の立っている場所を見る。

「あ……」


力強く踏み込み、地面を削った跡があった。ロードはここから頑強な一撃を放つつもりだったのだろう。


その削られた地面の少し先に、花が咲いていた。


もう一歩。体重を乗せた一撃を放てばシャッハは確実に負けていたのだ。
しかし、そうすれば花が潰れる。

「貴方は、この花を踏まない様にして……」

だからロードは攻撃を中断し、シャッハの一撃を受けたのだ。

《……》
大破した左腕からは絶えず火花が散っている。
何も言わずに後ろへ飛び、大剣を拾い上げて片腕で構えるロード。


「……」
シャッハは、どうしてか目の前の敵と戦う気が起きなかった。

(…こんな、どこにでも咲いている花の為に……)

《……》

ただそれだけの為に…ロードは片腕を犠牲にした。

騎士の姿に偽りは無い。何かを守る為に、その身を差し出せるのだから。

「………」

《……》
ロードは剣を納め、撤退していく。その背中を見送り、シャッハは胸に残る罪悪感に悲観した。


しかし、感慨にふける暇もなく、教会から黒炎が上がる。

「騎士カリム!」

シャッハは気持ちを切り替え、すぐに黒炎の上がった方へ走っていった。







「悪いな、邪魔するぜ?」
 教会に単独で突入したロアは肩を回し、警護していた局員数名を倒す。
教会の中庭を歩きながら目的の場所を目指した。

「ん?」

そんな視界に映る避難していく子供達。聖王教会の中にある魔法学校の生徒達だ。

別に興味の無いロアは視線をずらそうとしたが、頭痛が走る。

「……ゃ」

「聖、王……!」

頭が割れそうな痛みに顔を歪め、左目の赤い少女を睨む。
身の危険を本能的に感じたのか、その少女―ヴィヴィオ―が泣き出して足を止める。

ロアは知らず知らずに拳を握り、カートリッジを装填していた。

「っ!…ゆりかごがねえのに、何で居るんだよ!テメエはぁぁぁぁぁぁぁっ!」

吼えた。そして、走り出す。


「なのはママ…!フェイト、ママァ…!」

泣き叫び、身を守ろうとする。そんな事をしなくてもヴィヴィオには『聖王の鎧』があるのだが、それを打ち砕ける例外が二人。

そして、その一人が…


「うぉおおおおっ!!」

ロア。


もう一人が…


「あぁあぁぁぁっ!」



 ヴィヴィオの前で、炎が上がり黒い影が飲み込まれた。

だが、そこから弾きだされたのはロアだけだ。


「…テメエ!」

「何で驚く『紅蓮の破壊者』。お前の言う通り俺は兵器としてここにいる、破壊する為に、ただそれだけの為になぁ!」


ファルド・ヴェンカー。

この二人だけが、打ち砕ける。

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あきゅろす。
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