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魔法少女リリカルなのはLOST Battle
六ページ
「くっ…は、は……馬鹿野郎が…本当に大馬鹿野郎だよ。畜生…!俺はこんなにも壊れてる。だから壊すんだろ、ロア」

空を見上げたファルドが口を歪める。涙を流しながら、漆黒の剣を肩に担いで向かった。

「今日だけだ……今だけは『蒼天の守護騎士』としていてやる。だから壊してやるさ…お前の望み通りに」

最強の名を振りかざし、再び剣は空を翔ぶ。

自分が居るべき戦場を破壊する為に。




《…!》
全部隊の動きを読んでいたシャドウが足を止めた。急激に部隊数が減少していき、膨大な魔力反応が向かってきている。
自分の周囲に待機させていた起爆装置付きのフレーム達を全て先行させ、カゲギリを手に持った。

《…まさか》

「シャァァァドォォッ!」


ガァァンッ!

《オリ、ジナル…!》

「また会ったな。お前の指揮で全部隊が動いてるならこの布陣は納得がいく!お前はケルベロスの…俺のコピーだからな!」

《くっ!》

空で影が踊る。閃光が時折輝きながら黒く光る。

《ライド1、ブレイク1!現状報告》

《スバルと交戦中だ。救援には行けない》

《ナンバーズと交戦中。こちらも無理だ》

ライダー、バスターの両名は身動きが出来ない。

《ダガー1》
四体目から返ってきた通信は非常に短いものだった。


《排除完了》

それに紛れて誰かの悲鳴と憎悪の籠もった怒号が聞こえたがダガー1は通信を切った。
シャドウは部隊の一部を引き戻し、自分が離れると同時にファルドに差し向ける。

数体が左腕の魔力刃で切り掛かるが、バリアで防がれた。反撃として中距離から魔力の散弾を浴びせられて破壊される。

「何ッ!」
その内の一体が大爆発を起こし、魔力が周囲を飲み込む。その爆発に巻き込まれない様にファルドは遠ざかり、シャドウを探す。

しかし既にその場に居たのはガジェットフレームの大群だけだった。

「ちっ、逃がしたか…」
 徐々に数を増やしていくフレームを前にしてもファルドの眼差しは変わらない。
威嚇するような瞳で睨み、漆黒の剣を携える。

「そこを退けろ」

だが、退けるはずもなくファルドは一人戦った。そんな中、妙な不安が胸をよぎる。
 ロアの狙い。戦場を求め、彷徨う男は自分以外に狙いを定めていた。

(……何が狙いだ。俺以外に戦いたい奴でも?)
 切り掛かるフレームを撃破すると、スイッチが入る音が聞こえたのでファルドは即座に離れる。
仲間を巻き込みながら爆発が広がった。

「なるほど。撃破すれば被害が広まる、か…妙な訳だ。管理局がここまで被害を出すなんておかしいからな」
ふと、視界の隅に映る森林地帯。クラナガンから離れた場所に建つ教会が頭に浮かんだ。

(…まさか、アイツ……!)

「ロアの狙いは聖王の遺物か!」











――聖王教会

「騎士カリム!急いでください!…まさか、ここまで敵が来るなんて…」
「シャッハ。一人で大丈夫?」
「はい。任せてください」
 教会の中を走り、カリムとシャッハは外へ出る。そこには何をするでもなくロードが大剣を地に突き刺して仁王立ちしていた。

カリムはそのまま別な道を行き、避難する。シャッハはトンファー型のアームドデバイス、ヴィンデルシャフトを構えた。

《……》
ロードはシャッハを見ていない。辺りに生い茂る木々を眺めている。

「……?」
妙に思いながらも徐々に距離を詰めていく。後数歩というところでロードが大剣を構えた。

ソレを合図にシャッハはカートリッジを装填し、駆け出す。

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