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魔法少女リリカルなのはLOST Battle
四ページ
(これは……機動武装隊の部隊展開の仕方だな)

数隊が移動しつつ戦力を均等に分断しながらそれぞれ包囲網を広げる相手を逃がさない包囲型。
しかし、このやり方を知っているのは機動武装隊員、それも隊長クラスのみのはずだ。

(ロア、か…?)
だが戦闘行為のみを求めるロアはこんな作戦をとらずにもっと大雑把で分かりやすい。
ならば誰がやったのだと考えながらはやての話に耳を傾ける。

小隊を組んで各個撃破という形で対抗するようだ。

(……)
その作戦に対して意見は無い。だが、自分が本当に管理局の味方をしていいのかと、まだファルドは悩んでいた。

「ファルド君は…」
「俺は一人で動く。確かめたい事があるからな」

(この期に及んで何考えてるんだ…。俺は管理局側の人間というだけで別に八神達と行動を一緒にする理由は無い)

「だけどファルドさんまだ体が…」
「だからどうした。言い合う前にやることがあるだろ」
そう言い残してファルドは宿舎から出るまでにバリアジャケットを纏い、空に飛び立った。

「もー、勝手なんだから…」
「だけどうちらが一緒でも邪魔になるだけやから仕方あらへん。とにかくWARS部隊、出動や!」

はやての掛け声に全員が力強い返事を返し、宿舎を後にした。




一方先に出撃したファルドは付近の生き残った航空隊に通信を繋ぐ。

「おい!現在の状況を知らせてくれ!」
『え?あ、はい!敵の部隊展開が早くて…』
「お前達が遅いだけだ。今から言う場所に部隊を送れ!その後の指示は八神はやてに従え!」
『り、了解しました。ですが貴方は…?』

「民間魔導師だ!」
航空隊員に指示を出したファルドはすぐに通信を切り、ある一点に向かって飛び続ける。
煙の上がる地上部隊の一つ、そこに炎が広がっていた。

「……やっぱり、お前も居るんだな。ロア…」
かつての仲間に剣を向け、戦わなくてはならない事にファルドは心を痛める。

だがそれは、自分の選んだ道だ。
管理局側の味方をするという事は、否応なしに敵対するのだから。




 街が無惨な姿になっていた。そんな廃墟の街でただひたすらに戦うロア。
 瓦礫のソファーに腰掛けると、ため息を吐いて退屈そうにしていた。

「ったく、今の管理局に絶望するぜ……。何だよこの情けなさはよ…」
一個大隊がたった一人に壊滅させられている。その大隊を相手したロアに負傷の様子は無い。
 手を挙げると、取り巻きのフレームが移動を始め、空で撃墜されていった。

そちらに顔を向けると、ファルドが連射しながらロアに向かって飛び降りている。

(妙だな…避けようとしない…)
的の様なフレームの大群を撃ち落としながら降り立つ。

「随分遅いじゃねえか今日は」
「ああ。悪いな」
「機動武装隊の名前が泣くぜ?」
ロアは顔に放たれた弾丸を受けとめた。ファルドが銃を構えて睨んでいる。
表情は怒っていた。それを見たロアは口の端を歪める。

「らしい目になってるぞ、ファルド?俺と同じ、兵器らしい」
「黙れ。俺はお前の様な生き方をするつもりはない」

「じゃあどうやって生きていくんだ?古代ベルカが作り出した兵器、『ゆりかご』に対する抑止力である俺達はなぁ、戦う事しか出来ないんだよ!」

「それ以外の生き方だってあるだろう!」

「『兵器』に生まれた俺とお前には『人間』として生きる資格はないんだよ!」
二人の叫びが廃墟に響く。

「だからな、俺は!お前が『人間らしく』生きようとしてんのが許せねぇんだよ!」

「っ……。黙、れ…!」

突き付けた銃口が震えていた。自分が壊れる感覚に、体が震える。

それでも引き金を引いた。

ロアを庇い、フレームの一体に弾丸が刺さり爆発する。体を構成していた部品が飛び散っていった。

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あきゅろす。
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