[携帯モード] [URL送信]

魔法少女リリカルなのはLOST Battle
十ページ
脱衣場の扉を開けると、中にはザフィーラが人の姿をして体を拭いていた。
ファルドもその隣で体を拭き、着替えに手を伸ばす。

が、その手が止まった。


「…………」
その先にあるのは管理局のシャツ(男性用)とズボン。
 ついでに言うならなのは達の着替えも隣にあるのだがファルドは興味無し。

「…なぁ。この着替え誰のだ?」
と、ザフィーラにシャツを見せる。眉根を寄せて一言。

「お前のではないのか?」
「…………」
「それがどうかしたか?」
「……なんでもない」
仕方なくシャツを着てズボンを履く。下着もあったがこれは買ってきたもののようだ。


手早く着替えたファルドは廊下を歩き、ディードの部屋へ向かう。
階段を昇って中央の廊下から右端の廊下に移動。

突き当たりの部屋がディードの部屋でその手前がウェンディ、ディエチ、ノーヴェという順番になっている。


「ん?」
 戻って来たファルドが見たのはオットーと話すディードの姿だった。
ソファーに座り、何やら楽しげ(と言っても表情の変化はあまり無い)に話している。

「あ、おかえり」
「……ただいまでいいのか?」
「分かりません…」
ファルドが中に入る。だがザフィーラは着いて来なかった。入り口の側で待機している。

何となく予想出来ていたので大したリアクションはせずにソファーへと腰掛けた。


「二人仲良く何の話してたんだ?」
「別に……ただディードが襲われないか不安だから見にきただけ」
「初対面から襲うほどの外道じゃないぞ俺は」
「本当ですか?」
「嘘をつくのが苦手なんだよ。というか下手だ」
「そうなんだ。じゃあボクが一緒に寝る必要はないかな」

「待て。何でそんな話が出てる」
「対抗策」
「何に対するのだ!」
「夜のですが…」
「つくづく信頼ないんだな俺…。まあいいけど」
 ファルドを含めた会話は静かに盛り上がり、時計は日の変わり目を指そうとしている。
時間が時間なのでそろそろ寝ようという提案にディードは賛成し、ベッドに体を倒す。

「それじゃ、ディード。気をつけてね」
「まだ言うか…」
「おやすみオットー」
 二人だけになったので部屋の灯りを消して就寝。だが、ファルドはベッドではなくソファーの上で横になった。

夏が近いとはいえ、毛布の一枚も掛けずに寝れば風邪を引いてしまう可能性がある。

「……風邪、引きますよ?」
 そう言って毛布を差し出す。ファルドはそれを受け取り、一言礼を言うと今度は毛布のないベッドに横になるディード。

「何も掛けずに寝たら風邪引くぞ」
「ファルドもです」
「俺は別に良い。この毛布はディードが使え」
「ですが…私の部屋で風邪を引かれても困ります」
「別に大丈夫だ」
「……」
起き上がり、暗い部屋の中を歩いてファルドの寝ているソファーの傍に立つ。

「失礼します」
それだけ言うと体を乗せて二人で毛布にくるまった。
 当然ながらファルドはディードの体を押して体を起こす。

「何でわざわざ俺の上で寝る」
「退けないので」
「理由になってないぞ」
「…毛布を二人で使うにはこうするしか……」
「……」
確かに二人で使うには寝床を一つにする必要がある。だが、女性をソファーに寝かせる程ファルドは厳しくない。
ため息を吐いて毛布を持ったままベッドに座る。

「だったらこうするしかないだろ…」
「私はソファーでも構いません」
「駄目。いいから寝るぞ」
「……はい」
二人で毛布を使う為だと割り切り、ディードに背を向けて寝た。

(…やたら疲れたな。まさかとは思うが今日みたいな騒動が後三日間続くのか?)
などという恐ろしい考えがよぎるものの、すぐに眠気が全ての思考を塗り潰した。

[*前へ]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!