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魔法少女リリカルなのはLOST Battle
九ページ
「…管理局員であったのなら、何故牙を向けた」
「仕事だったからな。正直馬鹿だった。大馬鹿野郎だよ俺は」
 話を聞き終えたザフィーラは真っ先にファルドを注意。それに対して反省の意志を見せられた以上叱るような事はしない。

自分のしてきた事を悔やんでいるのかファルドの表情は暗い。
ソファーに寝転がり、手を伸ばす。

「そうか…。お前の使っている魔法、あれはミッドか」
「どちらでもない。少し細工してあるんだ」
「ならばなんだ?お前の戦い方はまるでベルカの騎士だ」

「……俺は、騎士だった。だけど今は魔導師だ」
「騎士である事を捨てたのか…」
「守るモノを守れなかった。だから…俺に騎士を名乗る資格は無い」
伸ばした手を握りしめ、拳を作る。
下ろした手で目を覆い、更にため息を吐いた。

思い出したくない過去。それは未だにファルドを縛っている。

「ザフィーラ。お前はどうだ?守るモノを守れなかったとして、それでもお前は騎士を名乗れるか?」
「俺は守護獣だ。主より後に死ぬ事はあり得ん」

「…そうか。悪い、変な事聞いて」
「いや、気にする必要はない」

「俺は、弱いからな……」
 それきり会話が途絶え、ディードが戻って来るまでの間二人は一言も喋らなかった。


しばらくしてからディードが部屋に戻って来る。

「じゃ、俺も行くか。誰も入ってないらしいし」

「ですが、注意して下さい。もしかしたら誰か入るかもしれませんので」

「覚えておく」
 冷静沈着なディードの忠告を受けてファルドはザフィーラと共に大浴場へ向かう。
全員入浴したのか、誰も居なかった。

脱衣場でファルドは服を脱ぎ、タオルを腰に巻いて中に入る。
シャワーを浴びて汗を流し、髪と体を洗う。

一通り洗ったら巨大な浴槽に体を沈ませて疲れを取る。が、何故か逆に疲弊してきた。
脱衣場の辺りから声が聞こえてくる。大体三人くらい。

「休む暇もくれないのかここは……」
「…すまないが、先に上がらせてもらうぞ」
「分かった……」
 最早疲労困憊のファルドにザフィーラを止める気力が残っているはずもなく、来るべき三人を待った。

そうして来たのが

「ファルドさん!?」

「ま、まだ入ってなかったんだ…」

「思わぬ誤算やな…」

「よりによってお前達三人かよ……」
体にタオルを巻いた三人が入って早々動きを止めた。
 一方のファルドは頭を下げて見ない様にしている。


「こういう場合俺はさっさと上がればいいのだろうか…」
だがもう少しゆっくりしたい。しかし気まずい空気の現実。
しょうがないのでファルドは上がろうと腰に巻いたタオルを押さえながら浴槽から出る。

「三人で仲良く入浴していてくれ…」
呟いて三人の横を通り過ぎていこうとした。
それを見送れば必然的に背中の傷が目に入る。

普通ではあり得ない、巨大な剣の跡。

その傷を見た三人が息を飲む。
背中からの視線に気付きながらもファルドは何も言わず、なのは達も聞かなかった。

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あきゅろす。
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