魔法少女リリカルなのはLOST Battle
七ページ
「まあ、約束やしな。今日はディードちゃんが好きにするとええよ」
「はい」
「俺に拒否権は存在してないのか?」
「無いって考えた方がいいと思うよ」
「…そうだな」
もうどうにでもなれ畜生。
「そう言えばまだ名前聞いておらへんかったね」
「………言わないとダメか?」
「当然や♪」
「はぁ…」
出来れば言いたくないんだよな。
「ファルドだ。ファルド・ヴェンカー」
「ふーん。うちは…」
「八神はやてだろ。知ってる」
「え、どうして知ってるん?もしかして会った事ある?」
「無い。だが名前は知ってた」
八神はやて先導の下、ディードという娘の部屋に向かう。
ちなみに、他のメンバーは俺が捕まった途端にブーイングの嵐だった。
無理言うなこの野郎……。
ついでに言うなら明日から面倒な事になった。
それは一人の提案から始まり、俺の意志に関係無く決定。
全員が集合し、捕まった報告をした時に手を上げる一名。
「はーい!アタシから提案あるッス!」
「ん?何やウェンディちゃん」
「日替わりはどうッスかね?一日毎に部屋を移動させれば公平だと思うんスけど」
「確かにそれなら今日みたいな事しなくて済むしなぁ。うん、それ採用や♪」
「はぁ!?待て、俺の意志は全く無視か?」
「じゃあザフィーラ。普段の監視役任せてもええ?」
「承知しました」
「だから話を聞いてくれぇぇっ!」
「それでは部屋に……」
「だあぁぁぁっ!!」
叫ぶしか無かった。少なくともそうする事を選ぶしかなかった。
「…………」
「…………」
「ほな、今晩は二人でゆっくりしたってな〜♪」
「それじゃ、ディード。また後で…」
八神とオットーが部屋から出ていく。
残された俺とディードの二人はなんとなしに気まずい。
「……」
「はあ…こうなったらやけだ。好きにしてくれ…」
「そう言われても…」
「じゃあ何で追い掛けて来たんだ?」
「追い掛けてません。医務室近くで待ってました」
「…………」
「でもまさか捕まえられるなんて思ってなくて…」
「もう良いからそれから先を言わないでくれ。発狂しかねない」
俺が医務室に戻る事を予想していたのか。成る程な、畜生。
とりあえず疲れたからソファーに座る。
部屋は一人で過ごすには充分な程広い。
だけどベッドは一つだけ。ここまで来ると苛められているのかと考えてしまう。
他には特に何も無い。あるのは植木くらいだ。
「はぁ……」
「大丈夫ですか?」
「駄目。疲れた…さっさとシャワーでも浴びて寝たい気分だ……」
そういえば俺は四日近く飯を食べていない。
さっきからやけに頭がふらつくのは貧血だからか。
「顔色が悪そうですが」
「そう見えるか…?」
「はい」
このディードという娘は感情表現があまり得意ではなさそうだ。心配そうにしているのは分かるが表情の変化が分かりづらい。
「まあ大丈夫だとは思うが……大した心配もいらん」
「そうですか。ところでお風呂はどうするんです?」
「先に入ってくれ…」
「全員同時入浴だそうですが」
「却下。全員が入った後に一人で入る」
何でいきなり全員と入らなければならないんだ。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!