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魔法少女リリカルなのはLOST Battle
三ページ
「どうかしたのか?リイン」
「はい。えっとですねぇ……」











「…………」
医務室前に立ち止まるセイン。
扉にロックが掛かって普通では入れない様にしてあるが、人差し指の先に付いている小型のカメラレンズでロックを解除する。

(少し話すくらいなら…いいよね?)
そして中に入ると、灯りが点いていなかった。
寝ているかと思ったが、ベッドには誰も居ない。

「あれ?」
あるのは使われた包帯のみ。

「何処行ったんだろ」
 逃げたかとも思ったが、そんな事をする人でもないとセインは思っている。

「ん〜…」
悩みながら二階三階と階段を上がり、屋上の扉を開けた。

外はやや薄暗く、沈み掛けている夕陽が見える。

そして、一人孤独に空を見つめる青年がいた。
気配に気付いたのか、振り向く。

しかしすぐに視線を反らして空を見る。

「やっほ♪何してんの?」
「なんだ、お前か……別に」
「素っ気ないなぁ…」
「悪かったな。こういう性格なんだよ」
「…照れてる?」
「照れてない。というか何しに来た」
「そろそろ晩御飯だから呼びに来た……じゃダメかな?」

「……知るか」
目を合わせず、ただ黙って遠くを見ているファルドの反応は少し冷たい。

それでも、セインは確かめたい事があった。

「あの、さ……」
「ん?」
「…隔離施設で会ったよね?アタシと」
「ああ。初対面でボールぶつけられそうになったな」
「アレは……」
「ついでに買い物でも会ったしな」
「そういえばそうだね……あれ?」
ふと、何か会話が微妙にずれている事にセインが気付く。

「もしかして、隔離施設でアタシを助けた…?」
「さあな」
「…………」
「それがどうかしたのか?」
「いやぁ別に…」
(素直じゃないなぁ…)
 ファルドの左手。そこにはケルベロスが主の命が来るまで忠実に待っている。

「……」
それに視線が向けられている事に気付き、ポケットに手を入れた。

「あ…」
「なんだよ?」
「うぅん。別に…」
「…ならいいさ。お前は戻らなくていいのか?」
「もう少し居ようかなって」
「別に逃げたりしない。行く宛も、帰る場所もないんだからな……」
「親とか居ないの?ほら、普通は……」

「普通…ならな」
「え?…それって、どういう」
セインが聞こうとした矢先に、屋上の扉が開かれる。

「あー居たッス!何してたッスかセイン」

「ウェンディ。あー、えーと……そのぉ…」

「医務室に戻る」
「って、ちょっと…」
「晩御飯食べないッスか?」

「食欲が無い」
セインとウェンディを屋上に置いて、ファルドは一人医務室に戻った。

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