魔法少女リリカルなのはLOST Battle
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私生活に関する話し合いが始まって約三時間が経過していた時、思い出した様にはやてがある事を言いだす。
「あー、皆。ちょっとええか?言い忘れてた事があんねんけど……」
「何ですか?主はやて」
「えっとな?実はここの宿舎はまだ完全に設備が揃ってないんよ……それでな、今回はメンバーの確認っちゅう話だけやったんやけど……」
「すっかり話し込んじゃったね」
外を見ると日が傾き始まっていた。
そんな事情を聞いたWARSメンバー達は一度解散、後日改めて集合という形となった。
だが、その間に事件が起きた場合はすぐに全員出動という話になっている。
とりあえず一度解散としたなのは達は、それぞれの思いを胸に別れた。
――同時刻・文化レベル0世界
「……ああ、了解した。後は一人で十分だからお前達は戻れ」
《分かった。だが監視はさせてもらうぞ、いざというときは…》
「いらん世話だ。これより行動に移る」
人の存在しない世界、荒れ果てた砂漠に、漆黒の青年は降り立つ。
歳は二十前半。背は成人男性の平均より若干下辺り。
凛々しい顔立ちだが、その表情はつまらなそうにしている為か人を寄せ付けない雰囲気を出している。
《あのさぁ…一人でこの砂漠の中にあるロストロギアを…》
「うるさい。通信を切るからな、終わったらこちらから報告する。じゃあな」
ぶっきらぼうに言うと話の途中だとお構い無しに念話を切った。
砂漠を一人で歩き始めた青年はバリアジャケットを身に纏い、その後ろ腰にはデバイスを下げている。
歩きながら右手を空間にかざすと、液晶のキーボードが現れた。それに慣れた手つきで何かのデータを打ち込んでいく。
「…座標確認完了、指定物最終確認完了……任務を開始する」
あらかじめ用意されたデータを確認し終わると、液晶パネルを閉じる。
ただひたすらに前を向く瞳には歪んだ黒に移る砂漠しか見えていない。
広大な土地を孤独に歩く姿には、微塵も寂しいというモノを感じさせず、それどころか孤高なる獣の如く力強い。
「…………まだ遠い、か?ケルベロス」
《はい。ですが確実に近づいてます、主》
ケルベロスと呼ばれたデバイスが主人の呼び掛けに応じ、的確に答える。
「そうか…」
小さな呟きには、飽きた感じがしていた。歩き始めて一時間足らずで既に面倒そうにしている。
だが、姿勢は変わらない。
とことん前へ、目的へと近づく足取りはペースを緩めない。
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