Break S.Novel
騎兵の他愛ない日常
鼻歌混じりにスキップして、スバルは玄関からリビングに顔を覗かせた。ソファーで黙々とバイクの雑誌を読んでいたライダーはそれに気付いて立ち上がる。
「ただいまライダー♪」
「ああ。食事にするか? それとも風呂か?」
「んー、ライダーで!」
荷物を置いて抱きつき、胸板に頬を擦りつける姿はまるで犬のようだ。長期出張任務に当たっていて漸く帰ってきたのだから無理もないのだが、ライダーは目を白黒させながら頭を撫でてみる。
「んぅ〜〜♪」
「……で、どうするスバル」
「ふぇ、なにが?」
「いや、食事だ。それと少し汗の臭いが……」
「あーそっか、帰ってきてそのままだもんね。シャワー浴びてくるね、ライダー♪」
「しっかり体は洗っておけ」
「はーい」
スバルが浴室に向かい、ため息を吐いたライダーは置き去りのカバンを見つけた。中には下着が入っていたのだが、やれやれと首を振る。
「洗濯機に入れておくか」
案の定すっぱなスバルとばったり合流するが互いに笑顔でスルーした。
「スバル、替えの下着はどうする?」
「忘れてた。ライダー、適当にお願い!」
「了解した」
階段を上がり、スバルの部屋から下着と私服を脱衣室に持ってくる。その後リビングに戻ったライダーはテレビを点けて雑誌を眺めた。
「…………つまらんな」
退屈しのぎにと思い、買ってみたが自分のバイクが一番であると再認識する。確かに心惹かれる内容だった。値段に見合う情報量だ、しかしそれでも取るに足らない。専用車があるのだ、それが朽ちるまで共に走ると決めた。スバルと。
「ねぇー、ライダー! シャンプーの替えってどこー?」
「あぁ、それなら──」
声が近いと思えば、シャワーを浴びて濡れたままリビングまで体を覗かせたスバルがいた。バスタオル一枚を巻いて首を傾げている。何故か分からないが、ライダーは先ほど全裸の姿を見た時よりも顔が熱くなった。
「……脱衣室の棚、上から二番目にある」
「そっか、ありがと♪」
居なくなってから数秒、何故か脳内で映像を再生する自分がいる。思考を切り替えて、濡れた廊下をタオルで拭く。
「んー、さっぱりしたぁ〜♪」
「スバル、水分補給はしっかりしろ」
冷蔵庫から牛乳を取り出すとスバルに渡し、座り込んだ。
「ラーイーダー♪」
「ぬぅ……なんだ。やけにくっつくな今日は」
「だって久しぶりに会えたんだもん、少しくらい……ね♪」
「……そうだな」
後ろから抱きつき、ソファーの背もたれを飛び越えるとそのまま肩に頭を預けてくる。顔が熱い、鼓動が高鳴るのはきっと──自分がどうしようもなく感情的になっているからだ。
「スバル」
「ん? なに、ライダー?」
「……言わなくてもいいんだが、好きだ」
「私も、大好きだよ……ライダー♪」
「俺も大好きだ」
顔が赤いのはきっと、日が沈んでいるせいだ。ライダーは、そう思いながらも──。
──そっと、唇を交わした。
〜あとがき〜
またまたライダーの話。いちゃらぶです。あぁもう。もー!(何)
実はファルドより書いてる回数多いかもしれない(笑)
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