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Break S.Novel
破壊者のフラグ破壊講座

「ロ〜ア♪」
「どぉわぁ!?」
「ビックリした?」
「心臓にワリィなぁ、なんだよフェイト!」
 部屋でくつろいでいたら突然抱きつかれて色々柔らかい感触に思わず跳ねてしまった。

「……嫌、だったかな?」
「え、あ、いや……そうじゃなくてだな……その、いきなりだったから驚いただけでなんつうか……」
しどろもどろになりながらも落ち込むフェイトをフォローしようとするが言葉が出ず、どうしようかと考えて気付けば頭を撫でている自分がいる。

「ん……ロア、くすぐったいよ」
「お、あぁ……おう……」
「隣いいかな?」
「好きにしろよ」
「うん……♪」
 隣に座ったフェイトが肩に頭を乗せて寄り添う。手を重ね、目を閉じた姿は安心感に満ちている。そんな姿を見てロアの心境はそれこそ桶屋がたらいを仕入れるテンパり具合だ。

「あー……えー……なんだ、フェイト。何か用か?」
「ううん、別に。ただなんとなくロアと一緒に居たいなって思っただけなんだけど……邪魔だったかな?」
「そんなことはねぇけどよ……なんつうかー、あー……」
 落ち着かない。何より言葉が出てこない、何か話そうにも柄でもなく緊張して話題が出てこなかった。

「ふふ……慌ててるロア、なんか可愛いな」
「ちょっ、フェイトお前。俺をからかいに来たのか?」
「そうじゃないよ、ただいつもと違う姿が見られて楽しいだけ」
「なんか釈然としねぇ……まあ、フェイトが楽しいなら別にいいけどよ」
「ロアは……」
「あん?」
「ロアは、私と一緒じゃ楽しくないのかな?」
 手を握りしめ、不安そうな顔で見上げてくるフェイトの赤い瞳が潤んでいる。愛くるしくて堪らない女性が、今にも泣きそうに、頬を赤らめていて、どうすればいいのか不器用なロアは分からなかった。ただ、不器用なりに努力してみる。

「誰も、そんなこと言ってねぇだろ……。その、なんだ。フェイトが傍に居れば俺は……楽しい、つうか……嬉しい、な」
「そうなんだ……」
「おう……。出来ればずっとこうしていたい……」
「……ロア」
 なんか、今とんでもなく恥ずかしい事を言った気がする。何か深く考えて物事を言う機会が中々無いから、こういう時にどうすればいいか分からない。

「いや、なんだ! 今のは忘れろ! 一緒に居たいのはホントだが、ってそうじゃなくてなんつうか……」
「……私も」
 自分の事に手一杯で、いつの間にかフェイトが正面から抱きついていた。シャンプーの香りと柔らかい感触に顔から火が出そうになる。今ならヤカンも沸かせるだろう。

「私も、ロアと一緒に居たいな」
「……フェイト」
 改めて自分の気持ちを再認識して、抱き締めようとした。



「ロア、次の模擬戦なんだが──」
「℃$¥¢£#%!?」
「えっ、あ──!?」

「……なんだ、二人揃って。休憩時間そろそろ終わるぞ」

「だ、だだだだだよな!? んじゃ、フェイトまた後でな?」
「え、あぁうん……私も仕事に戻るね?」

 恐らく今日一番心臓に悪いタイミングの登場だ。

「……ファルド、たまにお前がすげぇ羨ましくなる」
「なんでだ? 別に俺はいつも通りだろう?」

 この天然フラグクラッシャーめ。ロアは色々な意味でファルドが心配になった。




〜あとがきを築け〜
ロアフェイです。作中で結ばれるかと思ったらそんなことはなかったぜ! どういう事だスタッフ!

さっさとくっつけこの野郎、という声が聞こえてきそうだぜ。

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あきゅろす。
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