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Break S.Novel
舌で結べても結ばれない
「リンファー、リョウカー。あとレイヴン」
「なんか私だけオマケみたいな扱いー」
「うるせえ、さくらんぼもらったから食うぞ。リョウカ頼む」
「……あの、この箱一杯のを?」
「ああ」
 どこから貰って来たのか、木箱一つ丸々さくらんぼが詰まっていた。
 経緯については省く。ただ依頼の報酬でもらったというだけだ。

 農園の仕事を。


 いつものようにメンバーを集め、テーブルの上に用意された山を見て呆れたリアクションをされた。

「チェリーボーイ?」
「チェリーボーイ」
「Oh! You no`t chrre boy」
「Kill you!」
「ノォォォォォオオオ!」
 非常にやかましいいつも通りの食卓風景。

「黙々と食うなロイ」
「……貰って帰ってもいいか?」
「沢山あるから少しどうぞ」
「……マスターは?」

「チェリーパイ作ってるー」
「どんだけ食わす気だ!」
 文句を言いながらもロンはさくらんぼを消化中だ。

「ティシャちゃん、あーん」
「ぅ……あーん」
「マスターよくもらって来たね。凄い量だし……」
「それよりよく持って帰って来たと思うけど……」
 普段から馬鹿げた戦闘能力を惜しみなく振り回す姿を思いだし、ティシャは一人で納得していた。

「そういえばさー」
「モグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグ」
「ロイ、めっちゃ高速で食い始めんで! 頼むから聞いて!」
「……なんだ」
「さくらんぼのくきを舌で結べるーって奴。知ってる? キスが上手いとか」
 途端にやりだす女性陣。リンファは失敗し、上機嫌なレイヴンは知らぬ顔で食べている。

「……ん〜…………ぁ」
「どうしたの、お姉ちゃん?」
「種飲んじゃった……」
 なんやかんやとやっている中、マスターが戻って来た。

「なにしてんだお前等?」
「いや、さくらんぼの……」
 さりげなく挑戦したレイヴンが舌を噛んで涙目になっている横で、マスターがくきごとさくらんぼを一つ。

「………………ほれ」
「なぜ出来るマスター!?」
「普通出来ないか?」
「ねぇよ!」
 あっさり出来上がる結ばれたさくらんぼ。さすがに簡単にやられ過ぎて唖然とする一同。

「このテクニシャン……」
「なんか言ったかティシャ?」
「なんでもないわよ」
「あとは……ほい」
「蝶結びとか出来ちゃうマスターまじでおかしい!」
「舌が回らねえと口先回らねえしな」
 そういいつつ、くきと種をくっつけたまま実だけを食べる。

「やだ……なにこの色男……」
「スロウド」
「なにゃ?」
「食らいやがれぇぇぇー!」
「イタァァァァア!!」
「食べ物で遊ぶなぁぁぁぁ!」
「モグモグモグモグ……」
 さりげなく挑戦したリョウカは案外簡単に出来たが、誰にも気付いてもらえなかった。



〜あとがき〜
さくらんぼ美味しいですモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグモグ

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