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Break S.Novel
リリカル☆春ヶ岬学園!B

 リリカル☆春ヶ岬学園!B
 〜委員会は危険な香り〜



 日が暮れ始め、部活動が終わり片付けの始まる時間。二年ZUN組の音霧透羽は学園の花壇を手入れしていた。それは美化委員会の仕事だが、残っているのは透羽一人である。他の委員会のメンバーは途中から作業放棄したり部活動に勤しんでいた。透羽も剣道部の練習があり、試合を控えていたがそれよりも優先して委員会の活動に精を出している。

「……うん、これで良しと」
 雑草を抜き、土に肥料を埋めて苗を植える。悪い枝や伸び切った枝も間引きして、水を与えると猫車に道具を乗せた。

「やぁやぁお兄さんじゃないか〜♪」
「どわぁ!? お、お燐ちゃんか……ビックリしたぁ」
「あにゃ? 片付けかい?」
「うん、これから倉庫にね」
「ならあたいがやっておくよ。向こうにはちょうど用事があったからね」
「じゃあ、お願いしようかな。ありがと、お燐ちゃん」
「お安いご用♪」
 お燐は透羽の頬を一舐めすると、イタズラっぽく笑って猫車を押して行ってしまう。毎回ながら心臓に悪いイタズラである。

「……帰ろ」
 今から部活に行っても片付けぐらいしかない。透羽は汚れた手を洗い、カバンを持って帰ろうとして足が止まった。
 陽の当たる木の側に備え付けられているベンチ、お昼には皆の人気スポットとなる場所で生徒会長がうたた寝をしている。三年ZUN組、風見幽香は圧倒的実力で他の候補者を蹴落として今の地位を確立した。
 三年なの組、ファルド・ヴェンカーは書記。副会長は三年ぶれ組のホーウェン・ロックバルト。
 会計は三年ZUN組の八意永琳。その為、このメンバーの集まる生徒会室は生徒達の間で『絶対不可侵領域指定区画(※)』とされている。

 そんな生徒会の会長は誰もが恐れを為して歯向かおうとはしない。但し紅い馬鹿は除く。だが金髪の馬鹿は覗く(※2)。

(幽香さん、うたた寝してる……)
 起こさないようにと静かに近づき、手元の本に視線を落とす。題名は『楽しい園芸〜四季折々の百花繚乱〜』。恐らく買ったのだろう。
 首をうつらうつらと揺らし、倒れないか不安になっていた透羽の予感は的中した。かくん、とそのままベンチから落ちそうになる肩を支える。

(危ない危ない……)
「……ん」
「あ、すいません……起こしちゃいましたか……?」
「……何してるのかしら?」
「え、あー……倒れそうでしたので支えてました……」
 幽香はまだ多少眠そうにしながら隣を叩く。座れ、と言っているようなので透羽は腰を下ろした。
 ビンタ一発くらいは覚悟していたが、意外にも幽香が頭を乗せてくる。

「あ、あの、幽香さん!?」
「うるさいわよ……私はまだ眠いの……どうせなら枕になりなさい……」
「は、はい……」
「……寝にくいわ」
「ごめんなさい……」
 不満そうに唸りながら、透羽の足に頭を乗せると寝心地がいいのか、すぐに眠ってしまった。

(……いつ帰れるかなぁ)
「すぅ……」
 そんな不安も、気持ちよさそうに眠る幽香の寝顔を見て透羽は二の次にする。今はゆっくり寝させてあげよう、だから自然の音に静かに耳を傾けた。



 そんな二人のスキャンダルを見逃さないはずがない。校舎の陰から覗くレンズが一つ。

「次回の文々学園新聞は『生徒会長、無防備な寝姿』で決まりですね」
 ポンポン、くるり。

「片付けサボってなぁにしてんだ文ぁ?」
「……あやややや、ちょ、ちょ〜っとスクープを……」
 陸上部部長の隣、喧嘩友達である三年ZUN組、怪力乱神の星熊勇儀が笑っていた。

 ──あ、オワタ。文は本能で理解する。

「わたしの舎弟も巻き込もうってんなら容赦はしないよ」
 腕の枷が軋んで悲鳴を上げていた。文の顔からは血の気が引いているが、ガルムはその程度で情けなどかけない。
 首根っこを掴むと引き摺って片付けの続きを手伝わせた。

「うぅ、私って損な役回り……」
『何か言ったか?』
「ひィ!? 何でもないです!」

 天狗にだって怖い物はある。





 〜……あとがき
 何も言うなよ相棒……〜

 何か透羽君出番多くないですかー!(笑)
いいえ気のせいです。思いつきでも青春してるってなんなのよ!

※ 左右教室含め、『KEEP OUT』の幕が幻視する生徒多数いる為。写真を撮ると何か写る。

※2 何故か毎回生きて帰って来るがフィルムは全壊している。無茶しやがって……。

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あきゅろす。
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