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Break S.Novel
平和な街の作り方
「ふんふんふーん♪」
 上機嫌に鼻歌を歌いながらキャストオフ、チェンジバスタオル。を巻いて燐菜が浴室の引き戸を開けると、シャワーを浴びていたマスターの動きが止まった。

「ん、なんだよ燐菜。っつうか俺入ってんの分かってるクセに入るなってかまた泊まりに来たのかよ!?」
「だって居心地良いんだ、もーん♪」
 飛び付いて抱きつこうとする燐菜の手を避け、左手を左肩に後ろから回す。そして引きながら左足を払い、体制を崩させてお姫様抱っこから燐菜を湯槽に叩き落とした。



「あ、マスターさん。燐菜さんは……」
「風呂ん中に落としてきた」
 例え彼女だろうと容赦しないのがマスターである。風呂上がりだと髪がしんなり柔らかアジアンビューティー、とまではいかないが濡れてる所為かいつもよりおとなしそうな印象に見える。見える、だけだ。

 リビングでコーヒー牛乳を飲んだのでタオルで髪をガシガシと拭きながら階段を上がり、自分の部屋へ。パソコンを起動させる。スロウドから借りたFPSをクリアしていない、というか据え置きハードのソフトも渡されたがどうしろというのか。違いを見分けろと聞いたら、ああそうだ。と笑顔でサムズアップしたので親指を曲げちゃいけない方向に曲げてやった。

「マスター、ゲームやろー♪」
「寝ろ」
 ノック無しの乱入ノーセンキュー、即座にベッドに放り投げる。

「お前、人のワイシャツってか学校の制服じゃねえか!? なに勝手に着てんだよ」
「着替え忘れちゃって」
「だからって勝手に着るなよ、シワになんだろ」
「わぁ家庭的」
「張り倒すぞ! 大体着替えならリョウカかリンファの……」
 義妹とメイドと燐菜のスリーサイズを比べ、マスターは肩に手を置いた。

「悪い燐菜、サイズ合わねぇよな……」
「なんでそんな憐れみの目!?」
「だがせめて、下 着 は 借 り ろ」
「だが断る!」
力強い否定にマスターは頭を抱える。

「俺の彼女が変態過ぎて辛い」
「私の彼氏が可愛過ぎて生きるのが辛い」
「お前眼科行ってこい今すぐ!」
「本日定休日だって」

「タイミング悪ぃな畜生! ってだからそのまま寝転ぶなシワつくだろうが、あーもう!」
 ゲーム中断、ベッドでゴロゴロくつろぐ燐菜のシャツのボタンに手を伸ばす。

「やー、やー! 襲われるー♪」
「別なシャツ貸すから脱げ、つうか脱がすぞ!?」
「裸ワイシャツなのに?」
「コイツ蹴り飛ばしてぇ……!」

 ──コンコン、ガチャ。

「マスターさん、あの──」

「…………あ」
 リョウカが見たのは、ご主人様が彼女に馬乗りしてワイシャツを脱がせようとしてる場面だった。手に持っていた自分の下着入りのかごを落とすと顔がみるみる真っ赤になっていく。

「す、すいませんでした。お邪魔、でしたよね! 私、何も見てませんからどうぞ続きを!」
「ちょっ、待て!? 勘違いしてるマジで!」
「脱がせようとしてるのは真実。キリッ」
「てめえは黙れ燐菜!」

「ご、ごゆっくり!」
 慌ただしくドアを閉めた後、残った微妙な沈黙。

「……仕事でも行くか」
「え、私放置プレイ? ベッド濡らしちゃうよ」
「の前にまずは燐菜、てめえは着替えろ!」
「しかし断る!」
「うがぁぁぁぁぁ!」

 今日も九番地区は平和だ。

 主に、蒼魔と呼ばれる依頼屋が暴れていないおかげで。

 ……自宅で暴れているが、被害が最小限なので良しとしよう。




〜あとがき〜
人様のキャラを使うのは正直遠慮したいが楽しくて仕方ないのも事実。兎のキャラは基本使ってもらってもよろしいですが個人の範囲内でね!

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あきゅろす。
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