[携帯モード] [URL送信]

Break S.Novel
ツッコミ不在、故に暴走
 ロンが風邪をひいた。当然ながら普通に風邪ひいて休むはずもなく毎度ながら原因はスロウドの所為でもある。

「ちゃうねん、いや違うんですよ。少し好奇心をくすぐられてね、細菌兵げふんげふん!」
「ほう? 細菌兵器、つまりウイルスか。何で造った馬鹿野郎。四百字以内三百字以下で説明しろ」
「原稿用紙一枚分って言ってください」
「十六文字じゃねえか説明しろ」
「今のもカウントすんの!?」
 誰か止めろ。今なら間に合う、しかし肝心のツッコミ役が現在不在中だから止めてくれる人間が居ない。本格的にまずい状況だ。

「国際武装防衛機関兵器条約に細菌兵器、又はそれに準ずる微生物を使用して人体に影響を与える兵器の製造及び所持、提供をした者には厳罰を与えるというのがあるわけだがマスター。どういった処刑が好みだ?」
「珍しいなロイ、お前がそんな積極的にこいつを殺そうと意見するなんて。まぁいつもだが」
「今日の朝の占いに「普段から心がけている事に、より力を入れるとラッキー」とあったからな」
「なら仕方ねぇな。ロイ、俺が許可する。今は禁じられた『共和国式処刑法第四九条該当者刑罰執行』をだな……」
「マジでツッコミが来てください! 止めて辞めて勘弁してっつうか何それ既にいやな予感しかしないし何でマスター知ってるのつうかロイはまさか知らないよね!?」
「知ってるが内容を聞きたいか。まず二十四時間水責めから始まりそれから……」
「既に明日は絶望の夜明け確定ですか!?」
 というか常にスロウドを殺そうと心がけているロイに対して何か言うべき事があるのだろうが、生憎とツッコミ役が風邪でダウンの為、現在学園ではこんな休み時間が過ぎていく。クラスメイトは自分達の友人と雑談していて完全にマスター達の会話は聞こえていない。

「というか何故、なにゆえ貴方達二人は俺を滅しようと頑張るわけ!?」
「頑張るとか努力とか嫌いだから熱心と言え」
「訂正しろ。滅するんじゃない……抹殺だ」
「どちらにしろ生命の危機!? あ、そもそも道具がないから出来ないか☆」
 安堵したのも束の間、マスターが立ち上がると続けてロイも席を立った。

「水責めはプールで出来るな」
「焼きゴテは家庭科室か焼却炉で道具借りるか俺がやる」
「ペンチはどうする……」
「あー、確か露出してる骨抜くんだよな。んじゃ適当に借りてやるか」
「え、いやあのなに? なんの話をしてるのお二人?」
 何か思い出したように手を打ち、二人が指を鳴らす。

「そうだロイ、アレ忘れちゃダメだろ」
「あぁ、アレか。一番大事だな」
「一番重要だよな。でもあんのかアレ?」
「そうだな、流石に学園にはないだろう。……教団でも中々取り扱っていない」
「むしろアレがある学園なんて向こうの軍事学校ぐらいだろうが」
「……ならアレだ。代用品を使う、アレなら有る」
「あー、ソレな。了解した」
「お願いロンカムバック! マジでヘルプ! 俺の命が危機的状況! 九死に一生ってレベルじゃない勢いで!」
 何となくスロウドもアレの全容を把握したのか、いつになく必死にロンに助けを求めていた。既に処刑執行は確定らしい。こうなるともう本格的にツッコミ役がいないと止まる可能性は限りなく低い(天文学的数値で)。



 ──自宅療養中のロンは咳き込みながら割と本気で死にかけていた。

「ゲホッゲホッ、ゴホッ! グッ、ガハッ! ──……殺す、必ず殺す。次は絶対殺す……!」

 九割本気でスロウドへ殺意を昂ぶらせつつも学校の心配をしている辺り根っからの善人である。



〜あとがき〜
唯一のストッパーであるロンが居ないとスロウドが生命の危機に立たされます。早く止めてー(棒

[*前へ][次へ#]

10/61ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!