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リリカルなのは-Beautiful Fantasy-
不死鳥の遺産─W
 ブレンデットは手応えに、妙な衝突音を疑問に思いながらも善戦するなのは達へと移動する。

「ケ、ル……ベロス!」
 寸でのところでケルベロスがピンポイントにシールドを張っていなければ間違いなく行動不能に陥っていた。落下状態から体勢を整えてファルドはなのはの援護へと向かう。

「っ、テェ〜〜!! く、そったれが!」
 撃墜されたロアは運良く木が受け止めてくれたおかげで地面へ抱きつく事は免れていた。一度地面に降りて再び青空を見上げ、かぶりを振って飛び立つ。

「……クッ……バルディッシュ」
 フェイトもまた、負傷しながらも戦闘を再開する。
 シグナムは左腕を押さえ、膝を着いた。

「……折れてる、か」
 まだ戦える。しかしこの状態では的になるだけだ。

『テスタロッサ、すまない。私は離脱する』
『シグナム?』
『左腕をまともにやられた。スバル達の方へ向かう。足場がある分、こちらのがマシだ』
『分かった、気を付けてね』

 ウォルフは戦闘には参加せず、なのはの奮闘する姿を見て苛立ちを覚える。既に交戦開始より三分が経過していた。

『遅い! 貴様ら、何を遊んでいる! 時間がないぞ!』
『SIR! COより各機へ。総員、機動制限解除! 一気に片を付けるぞ!』
『了解!』
 ウォルフの一喝に《スカイハウンド》のリミッターを解除する。それにやや肩を落としながら、ツァラストゥラを持ち直して背後の足音に向けた。

「待て。あんたとやり合う気はない」
「戦闘に参加する気か?」
「……ああ、頭痛が鳴りやまなくてな。グングニル、セットアップ」
「なら忠告してやろう、二分後に天罰が下る。それまでに戦域から離脱しておけ」
 アークはその言葉を聞いていたのかどうか、アザゼル甲板から既に飛んでいる。それから遅れてウォルフもその場から離れた。

 ヴィータはなのはの死角を補いながらなんとか反撃の糸口を探すが、どうにもうまい具合に潜り込まれてしまう。

「クソッ、ちょこまかとすばしっこい! なのは、どうにかなんねーか!」
「そうは言われても、難しいかな……」
 ファルド、ロア、フェイトが救援に来たが遅れてさらに一人。
 その姿を見て、ヴィータの動きが止まる。

「ヴィータちゃん?」
「……なんで、嘘だ……! お前死んだんじゃねーのかよ!」

「……ヴォルケンリッター、鉄槌の騎士」
 頭痛が、鳴りやまない。頭蓋の奥から引き出される幻想に幻聴まで重なっては手の打ちようがなかった。アークはグングニルを構え、ブルーバードからヴィータを引き離す。

『こいつは俺が引き受ける』
『協力、感謝する』
 プロジェクトFの被害者。再現された初代夜天の主。見るはずのない景色に、思い出すはずのない記憶に苦しみながらアークは守護騎士と矛を交える。

 シルフィがなのはに《RAPID FIRE》を叩きつけ、ストリーグは《HORNET FLARE》をそこに追加した。離脱する二人とはまた逆に左右からダグラス、マグランの誘導弾がオーバルプロテクションを揺らす。全方位防御してるとはいえ、このままでは危うい。
 解除してレイジングハートを持った瞬間に《MCM FLARE》が視界を覆った。ブレンデットの時間稼ぎにより、既にシルフィは反転してなのはを狙っている。

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あきゅろす。
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