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リリカルなのは-Beautiful Fantasy-
七ページ
「そういえば、一人で教会へ?」
「いや、足がなくてな。クルヴィスも一緒だ」
「それで……今は?」
「……シスターの相手してる」



「はっ!」
 シャッハの双剣をクルヴィスは徒手空拳のままに受け流し、捌く。勢いを殺さず、生かして自分の距離まで潜り込み、掌打。

「相変わらずのお手並みのようで」
「そちらも……っと、ロア隊長。話は終わりました?」
「ああ」
「ではシスター、失礼します」
 互いに一礼。二人は車に乗り込むと、地上本部へと向けて走らせた。
 エンジン音が風を切る。窓から眺める景色はいつもと変わらない街並だ。

『クルヴィス三佐』
「あいあーい」
『市街地で戦闘が発生、違法魔導師二名です』
「了解、今から向かう。すいません、ロア隊長は徒歩で本部に向かってください」
「なんでだよ」
「いや本局魔導師ですから」
「…………へいへい」
 意味を理解して、おとなしく車から降りる。クルヴィスは交差点を曲がり、現場へ向かっていった。

「さて、と……」
 地上本部までの距離を目測で測り、しばらく考えた後にロアは。

「ま、ジョギングにゃちょうど良いか」





「やぁおはよう、シャドウ」
《GOOD MORNING》
「調子はどうだい」
《NO PROBLEM.I`m fain》
「そうか。それは何よりだよ」
 アレックスは画面に向かって語り掛ける。それに、ちゃんと答えてくれるAIの名前はシャドウ。
 独立思考AIプログラムの第一被験者だ。尤、まだ生まれていないが。

「言語機能変換、と……シャドウ。聞こえるかい」
《問題ありません》
「今回は君の動作テストだ」
《了解しました》
 アレックスのパソコンからコードを繋ぎ、三体のうちの一体と繋ぐ。
 人体を模した構造に伴い、脊柱から頚椎、頭まで背中一面に取り付けて準備は完了だ。

「データ共有……と。動かしてみて」
 ぎこちない動きながらも、左右の腕を動かす。今のところはまだ問題ない。
 ただ歩こうとするとその辺りの姿勢制御系統が完成していないからか、すぐに膝から崩れ落ちる。

「うーん、何がいけないんだろうなぁ……」
「ほっほ、やっとるな」
「グアノ爺さん」
 左目にモノクルの眼鏡を掛けた老人は立ち上がるシャドウの胸板をこづきながら唸った。

「でかい赤ん坊だの。“ハイハイ”から教えんとなぁ」
「ん〜〜……」
 あくまでも精神の探求でこのプロジェクトに参加しているアレックスからすれば、別に戦闘データはいらない。むしろ長期間稼働させる事により生まれる変化を感じ取る方が大事だ。

「バランサーは正常なはずなんだがな……」
「やはりAIの問題じゃないのか?」
「そうなんだ、です……。その辺りを含めた並列処理を行おうとして思考が混雑することで起きてるとしたら……」
 駆動箇所に動作補助のスクリプトを追加するとなると、戦闘に応用する際には障害となる。

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