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リリカルなのは-Beautiful Fantasy-
三ページ
「んー、書類そこ置いといてー」
「では失礼します」
 デジタルの情報媒体よりもクルヴィスは前時代のアナログ媒体を好む。その為重要な物は紙にまとめられている。
 放置して数分、手が空いたので異動希望の人物はどんな曲者かと期待しながらざっと眼を通した。

「ジュリー・クロス。性別女性、あらまぁ美人さんだこと……近代ベルカ式……へぇ」
 陸士部隊での訓練成績は取り立て良い訳ではなく、軒並み普通と言ったところでクルヴィスはきな臭さを感じ取る。

(……ふぅむ?)
 しかし、だからと言って無下には扱わない。来る者拒まず去る者追わずが情報査察課の採用方針、然し裏切り者には粛正を。

「取り敢えず一目見なきゃなんともなー、書類で善し悪し見分けつかないし……」
 試用期間一週間、その間で判断する事にした。


 その日の業務を終えたクルヴィスは、飲みに行きたい気分に従って深夜のミッドチルダを歩く。
 流石に飲み屋以外は粗方閉店していた。いつもの場所に連絡を入れておく。

「──じゃ、よろしくお願いしますー。あーい、大将また後で」
 通話を切って息を吐いた。今日も一日憎まれ口を叩かれながらもめげずに頑張った健気な自分にご褒美を。クルヴィスが浮かれた様子で夜の街へ。

 近道の細い路地に入って、抜ける。

「……俺は誰か飲みに誘った覚えはねーんだけど?」
「────ちっ!」

 髪を撫でる刃を躱し、背後の不審者の腕を捉え肘鉄砲。
 足を払い、そのまま背負い投げ。綺麗に一本が決まった。

「けっ、ハァ……!」
「っとぉ!」
 敵は──二人!

 クルヴィスが後ろ腰にベルトで留めた鉄扇を振るう。悪寒に感謝し、右手の痺れを振り払った。
 足元に一人。狙撃手が一人、デバイスは無し。危機的状況である。

 続く第二射、今度は街路樹を盾にして防ぐ。すぐに踊り出て凶刃を避けた。更に狙撃手の追撃。

「よっ、ハッ! しょいこらぁ、一本!」
「げはっ!?」
 もつれ合いからの巴投げで不審者がビルのシャッターに背を打ち付けた。

「ちっ、食えねぇ野郎だ……! 退くぜ」
 鮮やかな引き際は追跡すら許さない。立つ鳥跡を濁さず。感心していたクルヴィスは呼吸を整えて行き付けの飲み屋へ向かう。

「最近の若者は物騒で嫌やわー。……あーやま、へこんでらぁ」
 お気に入りの扇子が曲がった事にちょっぴり気を落としながらも、本日も異常なしと呟いた。

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あきゅろす。
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