リリカルなのは-Beautiful Fantasy- 二ページ どうも聞いている限り、原因は自分と初老が原因のようだ。受け入れるか否か、ここに置くのは危険だ。等々の議論の合間で、管理局という単語が何度も出てくる。 管理局という組織についてトウハはまだよく知らない。あらゆる世界の争いの原因となる物を回収して回る組織としか。 機動武装隊。少なくともファルドが考えていることは違うのだろう。 自らを正義とせず、ひたすら職務を忠実にこなす。その原動力となる意志は一体なにが原因なのか。 (……止そう) 他人を詮索してもいい事はない。トウハは目の前の談義を見守る。とは言うものの、終わりそうにない。 そんな中、別な洞窟から二人組が現れて一同の談義が止まった。 「どうした騒がしい。まぁ理由は分かるのだが」 気さくに発せられる一言だが、男性の左手には盾と思わしき物に剣が納められている。 灰色の長髪にマント。その背中には上下逆の十字架を背負った長身の男性と視線が合い、トウハは会釈した。 「気が付いたか」 「はい」 「私はリヴァル=N=アルヴァリア、貴君の名を尋ねたい」 「……トウハです」 「ふむ」 「助けていただきありがとうございます。ここは……」 「アトランティス。巷では『消えた繁栄の都』などと言われている。見ての通りの地下都市だ。あぁ、安心してくれていいぞ。此処に管理局の手は届かん」 そう言ってリヴァルはトウハに手を差し出すが、何分そういう風習に慣れていない。それに接触は避けたかった。やや間を置き、残念そうにして手を引く。 「レックス。皆を頼んだ、私はトウハと少し話をしたい」 「うむ、任された」 「付いて来てくれ、この辺りを案内しよう」 レックスと呼ばれた男性は何かを指示し、リヴァルはどこかへ歩き始めた。その後についていく。 「おっと、すまない。デバイスを起動させたままだった」 「いえ、気にせず……」 自分も帯刀しているのだからどうかと思うのだが、気にしないのだろうか。リヴァルはデバイスを待機形態へ、そのまま歩く。 「……先ほどの話し合いは?」 「ん、あぁ。気を悪くしたならすまない、団長として謝罪する。何しろ管理局の元エースと拾ったものだからな……皆の気持ちは分からなくはないが」 ああそうだ、と挟んでリヴァルは足を止める。 「一応聞いておきたい。トウハは管理局か?」 「いえ、違います」 「そうか。あとでそう伝えておこう」 「……どこに向かってるんですか」 「町だ」 地下都市、とはいえ陽の差さない洞窟だ。そこに町? トウハは耳を疑い、首を傾げ、最後に目を疑った。 「ここがアトランティスだ。あそこは一部に過ぎんよ」 リヴァルの言う通り、町が確かにそこにあった。 洞窟だとばかり思ったが、違う。木々の合間から青空が見える。 荒れた瓦礫の町でもそこに住む人々がいた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |