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リリカルなのは-Beautiful Fantasy-
第二節-5

 機動武装隊は三手に別れて行動していた。スターズとライトニング、そしてウインド。

「わー……」
 ヴァイス陸曹のヘリに乗り、移動しているのはライトニング分隊に割り当てられたトウハとシーナだ。フェイトとシグナムも同伴している。
 なのは達スターズ分隊はカタパルトで射出、遠方まで転送されていた。

「きゅう……」
 若干出力が強すぎてふらついているが、大丈夫だろう。


「こちらウインド1。スターズ、聞こえるか?」
『は、はい。大丈夫です』
「ロストロギアの封印が終了したら連絡してくれ。回線は開けておけよ、万が一に備えてな」
 デルタのカタパルトデッキでファルドは左手を握り締める。久しぶりに前線に出る気がした。

「……行くぞ、ケルベロス」
《Yes》
「セットアップ」
 ケルベロスを起動。左手に握られるのは厚みのあるショットガンだ。黒い銃身に、重量感のあるフォルム。魔力に指向性を持たせるのに最も適した形状を追求した結果、こうなった。元々魔力制御に関してファルドはお墨付きだ。

『第一カタパルト、展開します。ファルド一佐、ご武運を』
「ウインド1、ファルド・ヴェンカー。了解」
 転送システムではなく、文字通りの射出。カタパルトに吹き荒ぶ風、広がる緑一色の景色に向けてケルベロスを構える。
 ロックが外れ、ファルドの身体を外に吐き出そうとするカタパルト。その衝撃を防ぐ防壁を発動しながら、同時にバリアジャケットを展開する。
 濃紺のアンダージャケットに、黒と青に染められた衣装。足回りを庇う外套に、左右非対称のジャケットの右手には手首から肘を守る銀の篭手が装備されている。
 加速の勢いを最大限生かし、目標地点まで全速力で向かって行こうとしたファルドに向けられる魔力反応。ケルベロスの注意に、その主は迅速な対応で回避した。

《Master!》
「分かってる!」
 加速魔法の発動シークエンスを中断、初速の勢いを殺して空中を滑る。直撃ルートから身を反らしてシールドを張るが、砲撃の威力は殺し切れなかった。

「ッ、くそ! 何処のどいつだ!」
 下方からの奇襲に対する反応、処理共々悪くはない。エリアサーチによる索敵も忘れず、見通しの悪い空中へ留まらずに着地する。


「ロア一佐?」
「……悪ぃがはやて、此処は頼んだ。嫌な予感すんだよ」
 何となく、ではない。ほとんど確信に近い物を感じたロアはデルタから離れた。気付けば、通路を歩く足は急ぎ足から走っている。

「……何の、冗談だよ畜生が!」
 忘れる物か。忘れるはずがない。何故ならアレは、ファルドと自分が最も傍で見てきた物だ。
 時には助けられた。
 時には教えられた。

 それが、今度は自分達を狙ってきた。助ける為でも、教えるわけでもなく。この空から“墜とす”為に。

 歯を食い縛る。もう、沢山だ。

 もし、この世界の何処かに神様がいるのだとしたら全力でぶん殴ってやらなければ気が済まない。

「何で、アイツばかりがこんな目に逢うんだよ!」

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あきゅろす。
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