良司と女神のトリセツ 蜜の罠 こうなったら俺の精神ポイントがゼロになるのが早いか、朝比奈が諦めて何処かに行くのが早いかの耐久戦だ。 いや、勝てる気がしなくなってきた。 もうだめぽ…の状態だ。 「今日の所は諦めます。でも、いつか良司さんを奪いに来ます」 確実に戦対物のやられ役の台詞だが、リアルで言われると怖い。 捨て台詞を吐いた朝比奈はそのまま店を出て行った。 ひとまずは助かったと、胸を撫で下ろす俺に麻紀の呆れたような目線が刺さる。 「また女の子に何かしたの?」 「しょっちゅうしてるような言い方すんな!何もしてねぇよ」 変な誤解をされているようなので、それを解くために今朝あったことを話すと、麻紀は笑い出した。 「じゃあ、あの子は忍者か何か?」 「知らねぇよ。まぁ確かに隠密みたいな事が出来る点ではくのいちみたいだな」 「うーん、どちらかと言えばくのいちより忍っぽいかな?」 「ん?女忍者がくのいちなんだから合ってんじゃないのか?」 「えっとね、くのいちって枕営業+暗殺専門だったらしいよ」 「枕営業ってなに?」 「夜のお世話って言ったらわかるかな?」 「ああ、くのいちってそんな事してたのか」 「ハニートラップはある意味最も古い類のスパイだからね」 「お前は、本当に何でも知ってるのな」 「そんな事ないよ」 「教えてもらったついでに、もうひとつ教えてくれるか?」 「私が教えられる事なら何でも聞いて」 「何で友達を放置したまま腕に抱き着いて話ししてるんだ?」 「質問が二つになってるけど?」 「良いから答えろ。っていうか、離れろ」 「じゃあ、私と春香の買い物に付き合って」 「何でそうなるの!?」 「助けてあげたでしょ?」 「しゃあねえな、分かったよ」 「森嶋くんがついて来てくれるなら、荷物の心配が無くなったね」皆見春香の初台詞を後に、店を出て麻紀達の買い物に付き合わされる事になった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |