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正義と不義
第5話
「おい、食器ぐらい片付けろよ」

ライトが部屋に戻ると
タストキが不機嫌そうに
ベッドに座って
ライトを睨んでいた。

「ごめん、怒らないで」

タストキの傍に来て
ライトはタストキの機嫌を
宥めている。

「・・・別にいいけどさ。
 何を話していたんだ?」
「・・・・・・」

無言でライトは俯いた。

「・・・戦争・・・か。
 確かなんだな?」

ライトは何も喋らない。

「何を言われたんだ」

追求するタストキ。
楽しく話せそうにないライト。
そして、ついに打ち明けた

「・・・戦争が始まったら、
 タストキは出ていくんよね」
「そうだ」
「僕は陛下の命令で
 ここに残る事になった。
 なんか人を想う心を
 失わせたくないからって・・・」「お前は残るのか・・・」
「・・・一緒に出れなくてごめん」

ライトがしょんぼりしていると
タストキが冷たく言い放った。

「・・・出れなくてよかったぜ」
「えっ?」
「お前は邪魔者なんだよ。
 元々兵に向かない上に
 まともに動く事もできない。
 戦闘は素早い判断と
 機敏な動きが要求される。
 それができないお前には、
 戦争に出る資格はない」
「・・・冷たい・・・」
「何か文句でもあんのか」
「わかってたよ。
 兵に向かないくらい」

静かに二人の仲に亀裂が入った。
タストキはわざと言った。
理由は王と一緒だ。
ライトはベッドの上に倒れて
タストキに背を向けた。

「・・・おい」

タストキがライトを呼んだが
返答はなかった。
耳をすませると、
微かに寝息が聞こえてきた。

どうやら寝ているようだ。

「ライト・・・許してくれ・・・」

空気に溶け込むような
小さな声でタストキは言った後、
ベッドの上に倒れて
朝まで眠り込んだ・・・。

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あきゅろす。
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