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正義と不義
第12話
「・・・・・・」

甲板の柵ごしに立ち、
海を眺めるタストキ。
空は青白くなっていて
東の空が明るくなっている。
夜明けは近い。

「・・・ライト・・・」

俺は戦死するかもしれない、
そんな考えをタストキは
持っていた。
考えたらいけないのだが
考えてしまう。

「・・・・・・」
「・・・おい」

隣から声を掛けられた。
兵である。

「またライトだな?」
「・・・・・・」
「そこまで悔やむんなら
 最後の別れくらいしてから
 ここに来ればいいのに」
「・・・あいつに―――」

タストキが口を開いた。

「戦争を知らせたくないんだ。
 異郷の平和な国で
 育ったんだから、
 人殺しの悲惨な光景を
 見せたくないんだ・・・!」
「なぜライトが戦場に来ると?
 陛下の命令で城から
 出れないはずなのに」
「どんな命令を受けても
 あいつは必ず来る。
 わかっているんだ、
 何をしたって。
 俺が戦場に赴く限り、
 必ずやって来るんだ・・・!
 あいつは・・・世界の守護者、
 ライト様だからだ!」
「世界の守護者?」
「戦場に着けばわかる・・・」

その時、マスト上の見張り台から
怒鳴り声が聞こえてきた。

「戦地が見えたぞー!」

「いよいよか・・・」
「頑張ろう、俺らの未来の為に」
「・・・あぁ」

決意を胸に、視界上に
戦地となる大陸が
大きくなっていく。
船は帆を畳み、
港へ入港する準備に入った。



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