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DOG'S LOVE FIGHT!
2


カァンッ!

「…‥げ」

我ながら惚れ惚れするような弾丸で飛んでいった空き缶の先には、クリティカルヒットされた被害物と、その所有者。

要するに、俺の蹴ったスペシャルショットは人様におもっくそ当たってしまったらしい。

「…アアッ?」
「…‥あー、悪い、当たっちまったか?」
「はあああっ?」

よりによって、アホみたいにガラの悪いいわゆるチンピラという集団の、チャリに。

チャリに跨った一人の口端に、うっすらと歪んだ笑みがのぼるのを見た気がした。

「なにがあー、当たっちまったかだコラァ、」
「いや、悪かったって」
「ナメてんじゃねえぞコラ。すんませんで済むと思ってんのかあっ?」


…‥思わない。


はあ、と溜息を吐いてこちらへと練り歩いてくるチンピラを眺める。一、二発やられるのは自業自得であって、しょうがないだろう。俺だって自分の愛車にあれだけ豪快にぶつけられてすみませんだけで済ませられる自信は全く無い。

「…‥」

幸先の悪い展開だ、全く。普段空き缶を蹴って歩く趣味など無いし、今までの人生で空き缶と友達だったことも無いのに。

見たところ、傷もついてない上にどう考えてもかっぱらってきたチャリではあるが、それは問題には出来ないだろう。

「…‥悪かったって」
「ふざけんじゃねえよ!」
「っ」
「死ねゴラァ!」
「ぐっ…」

顔に一発、腹に一発。

まさに八つ当たりか、憂さ晴らし。飛んで火に入る夏の虫では無いが、そんな相手に俺はうってつけの獲物だったのだろう。

コノヤロウ、雑魚なパンチで適当に受け流せたとしても痛いもんは痛いというのに。

「…‥んだよコラ。ガンつけてんじゃねえぞ」

現在進行形で痛いと呻いているだけなのに、殴られたい趣味があるわけで無し、ガンなどつける筈が無い。

そして一発殴られて済むわけも無い。ここまでは全くの予想通りだった。

俺にとって予想外過ぎる展開が続くのはここからだった。


「きゃーヒトシくん怖ーい、死なないでねオタクくーん」


ぴたり、と思考が一点に集中したのが分かった。

「……‥あ?」

オタクくん?誰がだ。

素でポカンと口を開いた俺のショットなど、自分で言うのもなんだがめちゃくちゃプレミアだ。表情が豊かな方でも無い上に、キャラでも無い。それこそチームの誰にも見せたことは無いのだ。




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あきゅろす。
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