死帳文
ある日のある朝。
眩しい日差しに目を覚まし、目を擦れば隣には恋人。
可愛い寝息をたててる。
見つめていたら、目を覚ました。

「―お早う、竜崎。」
「近寄らないで下さい」
「竜崎っ?」

朝一番の恋人の一言。
『近寄らないで下さい』
声が掠れてた。

竜崎はベッドから出ようと起き上がるも、腰が痛いようで起き上がれない。

「大丈夫か?竜崎」
「大丈夫って‥貴方がこうしたんでしょう?」

昨晩、僕は竜崎とこれ上ないくらいにセックスした。
理由は嫉妬。
竜崎が松田と仲良く話したりするから苛々した。
その苛々を竜崎に表したくてやってしまった。

「悪かったと思ってるよ、ごめん。」
「ごめんで済みません。貴方は最低最悪です。キラに違いないです。」
「キラは関係ないだろ?」

竜崎は布団に顔を隠し、目を合わせてくれない。
確かに昨夜は無理させ過ぎた。
失神させるくらいにイかしちゃったし。

「―竜崎‥」
「…………」
「竜崎‥」
「…………」
竜崎は完全に無視。
何度呼んでも返事をしない。

「そんな怒るなよ、今日は捜査休みなんだしさ」
「………」
「‥無視するなって。」
僕は竜崎を抱き締めた。

「嫌、嫌ですっ‥離して下さいっ」
「布団から顔出して。目合わしてくれたら離すよ」
「狡いですよっ」
「狡いけど何か?」

暫く竜崎は沈黙で固まり
渋々と布団から顔を出した。
「‥離して下さい」
「うん」
僕は竜崎を離して、いつものように隣に寝転んだ。
目を合わす。
竜崎はそらす。
僕は顎を掴まえて優しく触れる程度のキスを唇に落とした。

「んっ‥なっ、いきなり何ですか?変態っ」
「―ごめん。」
「え?」
「‥昨日はごめんな。自分でも止まらなかったんだ。苛々しちゃって。」

まるで覚えたての子供みたく竜崎を貪ってしまった。
大切に扱えなかった。
欲望のまま突っ走ってしまった。

「‥本当ごめんな。」
「ら、いとくん‥」

竜崎が僕の顔を覗き込んだ。
目が合う。
漆黒な瞳。

「‥まだ怒ってる?」
「怒って‥ませんよ」

竜崎はまた布団に潜り
顔を隠してしまった。

「‥本当?竜崎」
「本当です、怒ってないです。」

僕は竜崎を抱き締めた。

「好きだ、愛してるよ」
「変態じゃない月くんなら‥私も好きですよ」
「変態だなんて誤解だよ」
「いいえ、変態な時ありますよ」
「誤解だって」

ベッドの上でじゃれあう。
自然と笑顔が溢れる。

「‥これからは加減ってものを考えて下さい」
「了解」
「あと変態プレイはやめて下さい」
「変態?」
「猫耳つけたり、セーラー服着せたり」
「ああ、なるべくね」
「あと強要するのも駄目です」
「強要?」
「自分で‥動けとか、」
「えー、楽しいのに」
「貴方だけです。」
「…自分だって気持ちいい癖に。」
「何か言いました?」
「いや、別に。」
「ちゃんとこの約束を守って下さいね」
「守らなかったら?」
「‥1ヶ月エッチ禁止ですね。」
「…それはきつい。」
「だったら守って下さい」

暫く守るとするか。
可愛い恋人の頼みだし。

「竜崎」
「はい?…」

僕はキスした。
腰を撫でる。

「ん…ら、いとく‥」
「今日は一日ごろごろしたいな、竜崎と。」
「たまには‥いいかもしれませんね。」
「やった」

僕はぎゅっと竜崎を抱き締めた。
幸せな朝
たまにはこんな日も悪くない。







end




*あとがき*
甘甘目指しました。
こんな朝いいですね。





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あきゅろす。
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