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キリリク
恋の花 なな

「なにかトラブルだったんでしょ?」


キッチンでお茶を淹れながら訊くと、部屋着に着替えた優斗さんはソファーに腰を下ろしながら、


「新人の…ほら、昼間俺の後くっついてたヤツ、あいつがミスしやがってさ。凡ミスだから取引には影響ないけど、処理に時間が掛かったんだ」


………まさか、わざとじゃないでしょうね?あの時の会話、絶対聞いてたし。

嫌な予感がよぎる。女は陰謀家な生き物だから、私たちをケンカさせようとした?…そんな小賢しいテには乗りませんよ!


「急いで処理してたから連絡出来なくて…それで帰り道に連絡しようとしたら、会社に携帯忘れたみたいでさ。ゴメンな、花戀」


テーブルにお茶を置き優斗さんの隣に座った私に、心底すまなそうに謝罪してくる。


「それで走って帰ってきてくれたの?」

「だって花戀を散々待たせてたし、」

そっと頬を撫でてくる長い指。


「早く花戀で癒されたかったから…」


ゆっくり近付いてくる端正な顔。


「最近忙しくて花戀不足だったから、今日は花戀を補充しようと楽しみにしてた…のに、この有り様だ」


額に落ちる接吻。それは瞼や鼻、こめかみなどにも落ちてゆく。


「怒ってるだろうと思ってたんだ、連絡無しに遅くなって。俺だったら怒るから…。それをどうやって宥めようか考えながら帰ってきた」

「杞憂だったわ」


チュッ…と吸うようにキスされる。とても優しいキス。



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