キリリク 恋の花 よん 新入社員の中で、一人だけ猛アタック続行中なコがいる。もちろん優斗(ゆうと)さんが妻帯者と知ったうえで。 「…物好き」 ランチタイム。お弁当持参組の私たち同期グループが休憩スペースで食事をしていると、優斗さんと新入社員のコが通り過ぎた。 それを見たひとりが、ボソッと呟いたのだ。 「ん?」 「あのコ、いくらなんでもバカなんじゃない?新婚狙うって、どーよ」 「確かに」 「つーか花戀、ヤキモチやいてんじゃない?」 意地悪げに笑い、私を見る。いやいや、ヤキモチとか。 「優斗さんは相手にしてないよ、大丈夫。職場に結婚相手探しに来てるようなコは嫌いだから」 「…あんた達、職場結婚じゃん」 「たまたま職場結婚しただけ。それにアタックしてきたのは優斗さんなんだから」 「アノ小鳥遊さんがねぇ…」 「大型プロジェクトの疲れで、おかしくなってたんじゃないの?」 相変わらずのヒドイ言われようなんですけど! ワイワイ優斗さん話で盛り上がっていたら、スペースの入り口から声を掛けられた。 「花戀、」 低くて耳触りの良い、優斗さんの声。 新入社員は彼の傍で待機。あ、なんかムカつく。その優斗さん専属っぽい振る舞いが。 席を立って優斗さんの前に行くと、 「今日は早く帰れそうだから。夕飯よろしく」 ポンと頭に手を置かれ、蕩けるような笑みを向けられた。気分浮上〜。 . [*前へ][次へ#] [戻る] |