キリリク 弍 side:誠偉 あの尋常じゃない開閉のペースは、奏南ちゃんからのお祝いメール(もしくはコール)を待ってのコトか…。 って、奏南ちゃん学校だろ(奏南、美容専門学校通学中)。 ……休み時間に携帯いじれんだろ、とか思ってんのか。 この苛々が続くのも困るしなぁ。……円滑な撮影進行のためだ。 おもむろに携帯を取り出し、スタジオの外に出る。 短縮番号を押して発信。俺、奏南ちゃんの授業時間とか知ってるんだよね、必要に迫られて。 だから、今が休み時間だって知ってるんだ。 『もしもし?』 電波越しに耳にする声も、優しげでホッとするなぁ。なんて思ってみたり。 「あ、奏南ちゃん?誠偉だけど、今大丈夫?」 ディスプレイ見れば誰からだなんてわかるだろうけど、名乗ってみる。 『うん、休み時間だから』 うん、だからコールしたんだ。 「あのさ、奏南ちゃん。今日が何の日だか知ってる?」 『今日…?』 あんまりにもキョトンとした声が返ってきたので、不安がよぎる。 まさかまさか、いくらなんでも………忘れてる? 『禮の誕生日』 …ホッ。 「あのさ、お願いがあるんだけど…」 . [*前へ][次へ#] [戻る] |