キリリク 02 「あははー、ヒビキってば期待裏切られた腹いせにハルちゃんに八つ当たり〜」 ケラケラ笑うハジメくん。ヒビキはそれを横目で睨みつつ、 「…テメェだって期待しただろが」 地を這うような低い声で威嚇する。 期待ってなに?俺、立派な腐男子かと期待されてた??乞うご期待したほうがいいの?? とりあえず、なんだか分かんないけど友人達の期待に沿えなかったようなので。長いものに巻かれて生きてる俺は、素直に謝った。 「期待通りの立派な腐男子じゃなくて、ごめんね?」 可愛くなんてないだろうけど、首も傾げてみちゃお。 あ、やっぱキモかったんだ。二人とも数秒間固まったと思ったら、あさっての方を向いちゃった。 キモいんだよ!とかって殴らないのは友情だネ☆ 俺が厚い友情に深く感じ入ってると、クラスメイトに「柳瀬、お客だぞ」と呼ばれた。 黒板側の扉を見ると、ニコニコしながら手を振っている男子生徒がひとり。とても爽やかな笑顔を振り撒く後輩、ヒロだ。 ヒロは中学の後輩で、結構頭良かったから、今年この高校で久しぶりに会った時はビックリこいた。 ぶっちゃけココはそんなに進学校じゃないし。かといってヒロの好きな剣道が強いわけでもないし。正直どうしてココに来たのか、不思議なくらいだよ。 「どしたの?」 友情厚い二人に断り入れてから立ち上がって、ヒロの元へ行く。 超ニコニコしてて、犬なら尻尾ブンブン振ってる感じ。さわやかーなイケメンだし、モテるんだろうなぁ。こんな感じでラブ光線送られたら、女子はイチコロだよね…ココ男子校だけど☆ 「惷葵先輩、今日の放課後ヒマですか?!もしよかったら甘いもの食べに生きません?」 俺がヒロの前に立ったタイミングで、蕩けそうな笑顔付きでデート(笑)のお誘い。 えーと、今日は予定なかったよな…。 「いいよ、だいじょ「ハルちゃん、今日は俺らと約束あるでしょお。忘れたの?」」 俺の言葉に被るハジメくんの声。あれ、そうだったっけ? 「ヒドイ、ハルちゃん!今日は数学の課題、みんなでやる約束じゃんっ」 シクシク泣き真似してヒビキにしなだれかかる。 そんな約束したっけかなー?でもヒビキも尤もだとでも言いたげに頷いてるから、したんだろうなぁ。すでに俺、若年性痴呆?? . [*前へ][次へ#] [戻る] |