キリリク 01 「…男子がイチャコラしてるのって、萌えるよね」 のどかな昼休み。突然の俺の発言に場の空気が凍った。暫しの沈黙。 「……ハルちゃん、腐男子?」 恐る恐る訊いてくる友人。それにキッパリ答える俺。 「いや、違う。イチャコラしてる男子が好きなだけ」 あれ?間違えた?イチャコラしてる男子を見るのが好き、が正解か。 面倒だから訂正しないけど。 「シュンちゃん、男もイケるクチ?」 ワイルド系イケメンなヒビキが心なしか目を輝かせて問うてくる。面白いモノ見つけちゃったかい? 「まさか。24時間営業で彼女募集中です」 「…なんだ」 テンションだだ下がりじゃん、ヒーくんてば。ごめんね、オモチャになれなくて。 もう一人の友人ハジメくんは茶髪ロン毛をサラリと揺らめかせながら小首を傾げた。 「ハルちゃんてば結局どんなキャラなワケ?腐男子じゃないし、ゲイとかバイでもないんじゃさ」 「……平凡?」 「語尾、疑問系にするまでもねぇだろ、この平凡顔」 テンション降下させた罰ですか?ヒビキさん(涙) 確かにヒビキもハジメくんも男女問わずモテるイケメンだけどさぁ。平凡を上から目線で見るのは良くないと思うぞ。 平凡にだって市民権があるんだ! 「とりあえず、なんであんな発言になったワケ?」 ヒビキのヒドイ言葉をマルッと無視して、ハジメくんはそもそもの原因を究明しにかかる。 「…俺の作った菓子を奪い合って、我先にひとつのマフィンにかぶり付こうとしてるクラスメイトの姿を見たら、胸がキュンキュンしたので…」 「……それ、イチャコラ?」 尤もな疑問だな、ヒーくん。 しかし俺の目には特殊なフィルターが掛かってるのだよ。 「イエス、イチャコラ」 親指立ててイイ笑顔。しかしヒビキの発言は容赦なかった。 「アレにキュンキュンするけど、俺様攻め萌えとかツンデレ萌えとかの王道に反応しねぇし、その手の本も読まねぇじゃねぇか。腐男子になりきれてないハンパな嗜好だな、平凡」 ぐぅっ!内容もさることながら、最後に<平凡>と見下された…!ダメージ強いっす。 つか、 「ヒビキってば俺様攻め萌えとか、色々詳しいんだね」 「オンナノコの流行りに敏感なんだよ、俺は。モテるから」 くそ…またもや最後にダメージ喰らわされた!サラリと「モテる」とか言って…その通りだから反論できない(涙) . [*前へ][次へ#] [戻る] |