絶対無敵! B 「ナツとは一緒に住んでる」 敢えて『同居』とも『同棲』とも言わない。曖昧な言い方だな。 「ウソ…だって紫雪、他人と暮らすの性に合わないとか言ってなかったっけ?」 「ナツは他人じゃない。兄弟同然に育ったイトコだ」 「まぁ…そうだけど」 いまいち納得いかないのか、チロリと俺を見やる。 (多分この人、ユキが好きなんだ) 直感。ユキを見る他人の視線に敏感だからさ、俺。 「ところで、何の用?」 ソファーに腰を降ろし、彼女を真っ直ぐに見つめる。つまらない用事なら許さない、って感じ。 「しばらくココに泊めて」 「はぁ?」 眉間に皺を寄せて不機嫌そうに返すが、彼女は慣れっこなのか、特に怯んだ様子もなく続ける。 「最近別れたオトコがしつこくてさ。しばらくどっかに隠れてようかと思って」 「なら実家に行けよ。父さんも母さんもいるから、不便じゃないぞ」 「気ぃ遣っちゃうもん。紫雪の所なら、どうせ忙しくてあんまり家に居なそうだから、イイかなと思って」 「俺がいなくても、ナツがいる。ナツとお前は他人だから、実家より気を遣うぞ」 どうあっても断りたいユキは、ユウナさんの言葉をイチイチ突き崩していく。 「おじさん達と一緒にいるより、平気そうだわ。同年代みたいだし」 ニコッと笑って怯まない敵も、なかなかの強者。このまま二人だけで話し合わせても平行線のような気がするので、口を挟んでみる。 「しばらくって、どれくらいです?」 「え?」 [*前へ][次へ#] [戻る] |