絶対無敵!
D
ユキの言葉に頷いて、荷物を置いてくると、
「引っ越しソバでも取る?」
って、古風だな。
「いいって。作るから」
それくらい簡単だし。って続けながらキッチンに入り、冷蔵庫を開けてビックリ!
…何もない。酒とミネラルウォーターとチーズくらいしか…ない。さらに冷凍庫を確認すると、氷と山のような冷凍食品しか見当たらない…。
「ユ、キ…」
俺は呆れ返りながら、リビングのユキに問いかける。
「おまえ、いったい何食ってんの?いつも」
半脱力状態の俺に、ユキは平然と、
「冷凍食品とか外食。たまーにメンバーの手料理」
ぁあ…なんて不健康な食生活なんだっ。芸能人は体力勝負だろ!!
はっきり言って、俺は燃えた。ユキに人間らしいバランスのとれた食事をさせるという使命感に!
俺は家事全般にわたってベテラン主婦並の実力を備えている。俺が小さい頃から両親共稼ぎで、実質家事をこなしていたのは10歳年上の姉だった。
この姉が実に家事上手で、俺は姉から家事のノウハウ(裏技的コツから手抜きの仕方まで)を叩きこまれたのだった。
そーゆー訳で主婦(?)の血が騒いだ俺は、早速ユキを伴ってスーパーへ出掛け、どーっさりと食糧を買い込んだ。てか、油とか調味料とかから買わなきゃならないって、どんだけなんだよ…。
「うまいよ、ナツ」
きちんとダシをとったツユにソバを浸し、ズルルッと食べたユキが嬉しそうに言った。おまえ、ソバごときで…こーゆー人間らしい食事を、いったいいつ頃したんだ?という疑問が、心の中を音速なスピードで駆け抜けていった。
それにしても、鍋もお玉もまな板も、使われた形跡がなかったですYO!!ここに住んで何年??
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