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SAMURAI7+Dream
駄々(侍7/ボウガン夢)




私なんて、ただの





「町娘……なの、に。」






窓から外を眺め通しながら、窓枠に頬杖をついて溜め息を付いた。

窓の外に広がる町は賑わっていて、でも何処か騒がしい気もする。





それは、賞金首が探されてる、から。

もう、町には戻れない。






ウキョウが、私を探している。

私が町人だという事もあってか、町に私の顔、顔、顔。

指名手配が如く張り出され、追っ手もかかる今、この部屋から出る訳にはいかないのだ。
捕まれば、妾にされる。
それは嫌だった。







「ぁ……雪だ……」



眺めていた窓の外に雪を見付けて手を伸ばした。
……近付く影には気付かずに。




「おー、雪だな。」

「う、ウキョウのっ?!」

「迎えに参ったぜ、お嬢さん。」






見覚えのある紅梅色がはためいて、窓から人が滑り込んだ。

侵入を許した今、私がやれる事は逃走のみ。


背を向けて出入口に走ろうとしたその腕は掴まれて、手首を捕らえられた。

ぐんっ、と体がひっぱられ、勢いよく元の場所に戻ってしまう。





「やっ、離してっっ!」




その手から逃れたくて必死で腕をぶん回してみたものの、当然おサムライ様には敵わない。
さらに危うく折れそうな程強く掴まれて、あまりの痛みにへたりこんだ。


悲しくて、嫌で、……嫌で。





「いや、嫌だよ……妾になんかなりたくないよぉ……!」




へたりこんだ所為で上がった片手が、今度はゆっくりと下がった。

掴まれている感覚は残っているから、余計に不思議に思って、顔を上げると。




「ぉぁれ?泣いてねぇんだな。」




目の前の紅梅色はしゃがみ込んでいて、私の顔を見ると素っ頓狂な声を上げた。

まるで泣いているのが前提、とでもいうような口ぶりに屈辱を感じたのと、逃げられない現状に、

涙が滲んで、ホロリと、零れた。



それを覗き込む男は一瞬目を丸くして、そして困ったように笑う。







「あー……やっぱり泣かない方がいい。

……その方が、綺麗だしな。」



今度はにたぁ、と笑う男は、掴んでいた冷たい左手を離し、代わりに暖かな右手で優しく握った。

そうして、紅梅色はとんでもない事を言ってのけたのだ。






「逃げねぇか?……協力はしてやるぜ?」







その屈託のない優しさの滲む笑顔に魅せられて、コクリと頷く。



信じられる訳じゃないけど、

今は名を知らぬ、この紅梅色の男を、

信じてみたかった。













駄々



―――女を助けたのは、俺の我儘。






******



さむせぶ好きだー!\(^O^)/





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