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Dreeeeeam!
カフカ!(学パロ元親)





















「……………どうしよう。」



教室の机に座って見つめた己が相棒兼バイブルに向かって、本当に、誰にも聞こえない程小さい声で呟いた。




クラスでも奇っ怪な変わり者の私に、当たり前だが親友などおらず、必然的に目の前のPCは相棒。むしろ心の友。


その友が、今日学校に来て、起動を拒否した。






……つまり、御臨終なさった訳だ。





「………データ……私の大切な、マイコレ……!」



銀縁眼鏡を光らせて、液晶の横を掴み画面を揺さぶる。


目は血走っているだろう。
普段そんな顔なんかしないから、擦れ違いざまに私の顔を覗いてしまった幸村君が怯えていた。



幸村君の事は今はほっといて、ひっつめにした髪を揺らした私は画面を揺さぶる。ただひたすら……

まぁそんなアナログな行為は何の効果もなく終わり、脱力感が私を襲うのだが。

大切なものを一瞬にして失った虚しさと悲しさが溢れた。




「私の……、」




――私の、長曾我部君コレクションが……!






唇が震えて声に出せたのは前半まで。

心の中では尋常じゃないほどの絶叫を繰り広げていた。



変わり者で根暗、さらには芋い私にとって、不良で明るい長曾我部君は雲の上のアイドルだった。

クラスが違っても響くその名は、友達のいない私に興味と、好奇心と、そしてちょっぴりの恋心を植え付けた。




『隠し撮り、苦労したのに………』




両手を掛けてゆっくりとノートPCを閉じると、じんわりと目頭が熱くなる。


まさか、こんな事で本気泣きするとは思わなかった。

滲む涙を擦る為に眼鏡を外し、机に置く。



その瞬間だった。





「よいしょー!なまえちゃんの眼鏡いただきぃい!!」


「あっ………慶次っ……!!」




やめて!
と叫ぶ間もなく、幼なじみの悪戯小僧は見えなくなった。

ぼやける視界は生活に支障をきたすまでで、今隣を通ったのが誰かすら分からない。


……とゆうか、

ほんとに何も見えない!



「や、やめてよ………っ!」



ぼんやりとたなびく長い茶髪に手を伸ばしたが、距離感覚すらつかめない。


追い掛けるために立ち上がっても、机に足を引っ掛け他の机を巻き込みながら盛大に転んだ。

相当な轟音を立てて、四方の机と共に私も倒れた。




「お、おい、大丈夫かなまえ!Are you O.K?!」


目の前で転ばれて放って置く訳にもいかなかったからなのか、滅多に話した事のない政宗君が寄って来てくれる。


親交もないのに名前を呼び捨てにされたのは癪だが、そんな事言っている暇はない。

転んだ時に解けた髪を結い直すのも面倒臭くて、髪ゴムを引き抜いて政宗君に放った。



「What?」

「あの……持ってて……また取りに来るから……。」

「ちょっ……!?」



無謀だとは思ったけれど、痛むひざ小僧に鞭打って立ち上がり、慶次を追おうとした私の耳に、聞き慣れた悪戯小僧の声が届いた。



「い、いたいいたいいたいってば元親!!」


「うるせー!廊下で後ろ見ながら走ってるオメーが悪いんだよ!」





もう一つ聞こえた予想外な声に固まった。


……この場に眼鏡が無いのが悔し過ぎる。

目の前にいる紫色と白の影に、ぼんやりとしか視線が投げられない。



だけど私には確実があった。
これは元親君であると!




それよりこんな間近に彼が来たことなんて無いし、状況的には彼が私を助けてくれたようなもの。



そんな感動と、パソコンが壊れ今の彼の写真が撮れない悔しさも込み上げてきて、ついに泣いてしまった。

そうしたら、急に、ぽん、頭に大きな手の平が乗った気がして、ふと目線を上げる。




「おら、泣くな。慶次は後で俺がシメといてやるからよ、な?」





視力と、涙で見えない彼が、私に話し掛けていた。


いくらもたついた干物女と形容されていても、好きな人の前でくらい泣かないでいたい。
けれど実際の私は、赤くなりながら涙がどうも止まらず、ボロボロに泣いてしまっていた。


もう……それも悔しい。




元親君に首根っこを掴まれた悪戯小僧から眼鏡を手渡してもらって直ぐにかけたのに、彼は早くも慶次を引きずって教室を出てしまう所だった。



タイミングが悪すぎる私を呪ったけれど、
それでも元親君と話せた嬉しさは大きくプラスに傾く要因。

ぎゃあぎゃあと騒ぎながら廊下を歩いて行く彼等を見ながら、頬が自然に緩んでいた。


……それは極上の笑顔。


















―――おい慶次、あの子……

―――ん?俺の幼なじみのあの子だよ?

―――(あの可愛さ……隠してたなんて反則だろ?!)






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あきゅろす。
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