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短編
女誑し終了までのカウントダウンが始まりました



 ずっと好きな人が居た。

「付き合ってよ」
「んー、良いよ」

 そんな流れで付き合うことになった。
 因みに、彼の告白は罰ゲーム。えっちまで何週間かって、賭けてんの、知ってます。
 遊びだってことも、モチロン知ってます。
 でもあたしは彼が好きで、それならどうするべきかなんて、解りきったことだよね。

 ――本気にさせてみせる。

 とってもシンプルな決意でしょ。
 ウノもポーカーもブラックジャックも、ゲームで負けたことは無い。
 そして今回も。

「おい、おっそろしー顔になってんぞ。背筋冷えるわ」
「のーりーとぉ?失礼ー」
「失礼じゃねぇよ猛禽類の目ぇしやがって。美桜子の可愛さを見習え」

 現在地、居酒屋。
 幼なじみである法斗と、その親友である和志くんと飲んでいる。

「あのね、ノロケたいだけならあたしを引き合いに出すなっての」
「おっとバレたか」
「バレバレだよ」
「その辺にして、ほら枝豆きた」
「「サンキュ」」

 因みにに美桜子ちゃんっていうのは法斗の彼女で、これがまた法斗の好みどんぴしゃの童顔巨乳の可愛い子。
 仲良くさせてもらってます。

「あ、今日から付き合い始めたよ」
「やっと?何あいつグズグズしてたの」

 賭けに関する情報を事前に提供してくれたのがこの和志くんで、顔の広い彼はあたしの想い人である蒔田優吾とも仲が良い。
 ちゃっかり二ヶ月以上に賭けているようで、よろしくね、とウインクされたことも記憶に新しかった。他の人は二ヶ月以内に賭けてるんだって。
 つまり。
 賭けの勝敗がつくまで――二ヶ月を過ぎるまで、蒔田くんはあたしを振ることが出来ない。

「取り敢えずさぁ。本性のまま接してみようと思うんだけどどうよ」

 モテてモテてしょうがない蒔田くん。
 きっと女の子に尽くしたことなんて無いんだろうな。
 だからこそ、敢えて振り回したい。

「…うん、良いんじゃね?」
「蒔田もそろそろ後悔するべきだよね」
「任せて」

 中毒性が有ると評判のこの性格をさらけ出してまで、全力で落としに行くんだから。

「俺、紗耶香だけは敵に回したくないわ」
「うん、俺も。でも頼もしいよね」

 にやにや笑いながら言う二人と、あたしはたぶん同じ表情をしているんだろう。

「二ヶ月後、奢ってね?」
「勝ったらね」
「紗耶香が蒔田に負けることは無い」

 蒔田くんが暇つぶしにしてる遊びに、あたしは本気で取り組んでるの。負けるわけ無い。
 所詮は遊びだなんて、女を舐めてくれてんのは寧ろ好都合。駆け引きは得意分野なんだ。



女誑し終了までの
カウントダウンが始まりました




 ――待っててね、蒔田くん。

 どっぷりあたしにハマらせてやんよ。





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あきゅろす。
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