短編 とあるストーカーの懺悔 手に入らないと解っているものほど、欲しくなる私は欲しがりなの。 卑しい私を赦してね。 好きが欲しい。 嫌いが欲しい。 相反する感情で心を満たして欲しい。 欲張りな私を赦してね。 貴方の心ぜんぶが、私でいっぱいになればいいなんて。 なんてなんて、なんて凶暴なロマンスかしら! 迷惑かけたくないけど、かけたら覚えてくれるかしら。 グラスを倒して悲鳴をあげる。 貴方は優しいから助けてくれる。 馬鹿な私を赦してね。 お礼させてくれませんか? 恋人? …いますよ(ウソ)。 アドレス交換しませんか? 恋人? …振られちゃって(これもウソ)。 貴方が私を好きになる。 私は誰かと付き合って、その誰かと喧嘩して、貴方と話す口実にした。 嘘つきな私を赦してね。 好きです。 だからね、貴方も私を好きにならなきゃ。 それだけじゃだめよ。 自分の心を乱す私を憎んでね。 欲張りな私を赦してね。 赦さないでね。 どっちを望んでるのか、もう自分でも解らないの。 [*前へ][次へ#] [戻る] |