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GOLD RUSH!
蛇とランドセル2

 下校中、見慣れた赤色を発見した。
 ふわふわと空中に浮かぶ、それは女子用のランドセルだった。

「…明音ちゃん」

 ぼて。
 振り向いたのは見慣れた少女。
 背後でランドセルが落下した。



 明音ちゃんは、飲み物を買いに行った詩月ちゃんを待っているところだったらしい。
 暇になって、手近なものを浮かせて遊んでいたのだとか。

「うん、明音ちゃんは何の妖?」
「人間だよ!?」

 懐かしのジャングルジムに腰掛けながら尋ねると、何と新しいパターン。
 また人外生物と知り合ったのかと驚いたら否定された。と思ったら明音ちゃんは更に続ける。

「妖っぽいのはしづの方っていうか神様で蛇様で!」
「蛇神?」
「それ!」

 元気よく言ってくれるのは微笑ましいが、そこまで聞いていない。神様って、なんてハイレベルな。
 ふうん、と頷いたら、明音ちゃんの背後から詩月ちゃんが現れた。

「明音の口はどこまで軽いの。ヘリウムガスと良い勝負ね」
「しづ!遅いよ!」
「まず貴方が謝って。不愉快なの」
「ごめんなさい」

 二人の力関係が垣間見えた瞬間だった。

「明音ちゃんは、ただの超能力少女?」
「そうですね。で、私は蛇神です」
「あっさり認めるんだね」

 意外に思って詩月ちゃんに首を傾げると、うっそりと微笑まれた。蛇っぽいというか、陰性の微笑だった。

「小鳥さん、人ならざるものの気配がしますから」
「人間辞めた覚えは無いけどね」
「じゃあ近くにそういうものがいますか」
「バイト先に一人と、友人に三人と、知り合いに一人」

 始有さん、空霧くん、ばっくん、倉間、颯姫ちゃん、…で全部か。たった今、一人追加されたけど。
 指折り数えながら笑ったら、詩月ちゃんもきょとんとして。

「随分と縁があるんですね」

 私もそう思う。





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