GOLD RUSH!
蛇とランドセル1
七月の放課後、誘惑に耐えきれずコンビニに入った。暑いときのアイスって最高。
「あ」
自分のすぐ近くで、何か意外なものを見つけたような声がしたから気になった。ちらりと声のした方を見たら、その視線は明らかに私に向けられていた。
凝視。じりじり二つの丸型に穴が開きそうなくらい見詰めてくるその子は、ランドセルを背負っていた。ふわふわした癖毛のショートヘアーに、若干垂れた大きな瞳。元気で明るそうな可愛い子だ。
因みにもう一人小学生女子がいて、その子を不思議そうに見ている。セミロングの黒髪を二つに括った、色白の大和撫子系、正統派美少女。友達らしい。
「…あぁ、こんにちは」
直ぐに元気そうな子の正体に気付いた。いつも擦れ違う小学生だ。多分。
「こ、こんにちは!」
「あかね、知り合い?」
「うん。朝に良く会う人なんだ」
正解だった。
「へぇ」
「名前知らないけどね!」
「…馬鹿」
目の前で名前知らないとか失礼よ、と少女はクールな美少女に怒られている。美少女はしっかり者らしい。
「良いよ、会うって言っても擦れ違う程度だから」
小学生だしな、と思いながら笑うと、垂れ目の元気系が自己紹介してくれた。
「こだまあかねです!よろしくお姉さん」
「とうやしづくです」
続いてクールな美少女。
胸に付けられた名札で漢字を確認すると、児玉明音に、……濤冶詩月…?
明音ちゃんはともかく、詩月ちゃんは無理だ。
しづきじゃなくて、しづくなのか。最近の小学生って凄い名前の子が多すぎる。
ていうか苗字からして読めないし書けない。テストの度にプリントに漢字で書くのが嫌になるに違いない。
内心色々考えながら、次の自己紹介は私の番。
「椋告小鳥です。よろしく」
にっこり親切そうにお姉さんスマイル。
だって、まだ昼間だから。
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