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GOLD RUSH!
天狗面3

 ふらりと出掛ける金曜の夜。明日は休みだし、バイトも午後からだから夜更かし上等な気分。
 カチカチ、メール打って、通りに向かう。

「あ、ツゲさん来た来た」

 先刻メールで待ち合わせした空霧くんがぴょんぴょん跳ねて居場所をアピールしている。そんなことしなくても頭の色が目立つから直ぐ見つかるのに。
 逆に黒髪の私は見つけにくいはずなのに、空霧くんは直ぐに私に気付く。
 …臭いで解るとか、流石は獣。

「やっほ、良い夜だね」
「そうだね」

 最近、夜の街でよく空霧くんに会う。空霧くんが私にメールしてくるのだ。
 空霧くんは中学生だし、夜遅く出ることはそう多くないから私も付き合っている。
 だらだら一緒に遊ぶの、割と好きだったりして。
 まぁ、偶にだから良いんだけど。毎日だったら大目的が果たせないし。空霧くんじゃあ強すぎて通り魔さんにも圧勝だ。

「お腹減ってない?」
「ツゲさんからメール来る直前に済ませたよ、其処で」

 空霧くんが直ぐ側の路地を指差した。

「空霧くんの食事って、結構、大胆だよね」

 発見される率高いんじゃないかな。良いのかな。

「あれ、反応するとこ違くね?俺、今ツゲさんの同族食ったばっかりなんですけど」
「それはほら。食物連鎖だから。初対面が既にアレな感じだし」

 しょうがないよね、と笑う。
 笑いながら嘘を吐く。
 怖がらないのかと聞きたいんだろうけど、寧ろ食べてもらうことを期待してる私が怖がる理由は無い。
 私の目的を知らない空霧くんにわざわざ教える気も無い。だって懐かれちゃったから。
 いたいけな少年の心を傷つけたがるようなドSじゃないし。
 …あぁ、でも居たなぁ、ドSの知り合い。中学のときの後輩に。どMのオトモダチとセット扱いで。懐かしー。

「ツゲさんて、非人道的だよね」

 空霧くんが微妙な表情をした。
 そのココロは、『嫌われなくて嬉しいけど何か不安になってきた』ってとこかな?

「人外に人道を説かれても」
「…俺が『非人道的』とか言うのも変な話か」
「そうそう。ところでさ」
「何?」
「ファミレス行かない?」



 いつも通り、近況を話しつつ楽しく過ごした。
 ナンパの事とかバイト先の先輩が素敵だとか学校であった小事件とか。
 で、やっぱりというか何というか、空霧くんは学校でもてるらしい。
 笑うとカワイイってポイント高いもんね。ノリも良いし。
 …問題はネーミングセンスが無いことか。





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あきゅろす。
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