imagination illusion
4
「なあ、サフィラス」
名前を呼んで、髪に触れる。
「愛してるよ」
不思議そうな顔に言い含める。
今じゃなくて良いから、理解して欲しかった。
「だからよく考えることだ」
あたしのより濃い葡萄酒色の髪は、月明かりの中でも美しい。
サフィラスには夜も似合うのだと、初めて知った。
昔は、昼日中の光の中でしか見たことが無かったから。
「ねえ、」
と、優しく笑って、抱き締める。
「あんたが好きなのは、どういう“あたし”だい?」
見開かれた目に目を合わせたまま、あたしは手に魔力を込めた。
籠の鳥ではいてやれないよ。
お前が好きなのは、そんなあたしじゃ無いだろう?
ねえ、サフィラス。
早く。
はやく、答えを、見つけて。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!