imagination illusion
6
僕の部屋に、兄の部屋に、廊下に、薔薇の花が増えていく。
毎日一輪ずつ。
あの日から、赤い薔薇を購入するのが日課になって、花屋にはすっかり顔を覚えられてしまった。
信念など無い、ただの惰性だ。
「お前は…何がしたいんだ?」
長兄が眉間にしわを寄せる後ろで、次兄が笑いをかみ殺している。
「願掛けのようなものだ」
適当な答えを返して、傍らの花瓶にまた薔薇を一輪差した。
後から考えれば、或いはその答えは、的を射ていたのかもしれない。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!